だがしかし/昭和元禄落語心中

●だがしかし・最終話。前半は男女別れての浮いたようでちっとも浮いてないトークさくらんぼの詩は懐かしいなと思ったが、もうかたっぽのレンズ付フィルムっぽい菓子は知りませんでした。そんな菓子に仮託して語られるどうでもいいようなエピソード、ってまあ毎度のことですがね。んで後半はミルクキャラメルとその他シメっぽい話。前回のちょいとしっとり気味な話を受け、なにやら意味深なこと言いつつオープンエンドで一端の区切り、って感じっすかね。キャラメルがかつてオトナのお菓子として売ってたってのは知らんかったな。高価だったのはなんか聞いたことありますけども。

●総評。駄菓子をお題に主要5人のキャラをもってコメディとするような、そんな感じの話。元が割と小品というか掌編というか、軽いギャグの原作であるので、やっぱちょっとその「軽さ」が減衰気味なのは残念なところだとは思う。ポコンと抜けたような、ヘボっちいテイストのギャグがこの作品の魅力の一つだと思ってましたのでね。30分枠でアニメ化した以上、ある程度避けられない選択だったとは思うけれど。

そのかわり強化されたのがまず各々のキャラ性、特に女性陣はそれぞれ「ウリ」がありやすのでエンハンスしやすかっただろうなと思う。サヤ師のどこか脇の甘いツンデレデレぶりもいいけれど、やっぱほたるさんの「謎だけどヘッポコなお姉さん」というほかの作品ではあまり見ない性格はなかなか得がたい。たぶんこの人、駄菓子の妖精か何かだと思う。

そして更に強化されてんのはその叙情性。なんかこう、リアルタイムでこの年齢やってる人たちの話というよりは、「あっこれ永遠の夏休みだ」って感じの理想性が乗っかってきてるような気がする。上で妖精と書いたけど、そういう少々の非現実っぽさはこの叙情性のおかげもあるかもしれない。何気にこのアニメ、美術が気合入ってんだよね。最終話の雨のシーンもそれぞれ見所多くてよろしかった。ざざっと降り始めてそこここの水溜りに青空が映ってる絵、とかね。

てことで、うーん。スコンと褒めるってワケにも行かない、どこか切れの悪い言い方になっちゃったけど、まあそういうもっちゃり加減もこの作品の味と見ることもできるかもしれない。まあ懐かしさもあったり新たな知見もあったりで、何だかんだで楽しく見たのではありますけどね。まあその、そんな感じで。

昭和元禄落語心中・最終話。助六とみよ吉を失ってまたもや孤独になったと言う八雲師匠である。とは言え、彼の周囲には反発者の小夏さんと心を許す松田さん、それに手のかかる弟子である与太郎も居るこったし、とても孤独とは言い難いような気もする。それでも孤独だああ孤独だとおっしゃるのならばよろしい、更に孤独でなくしてあげましょう、ってんで小夏さんの子供と与太郎助六襲名という、二方向からシンさんという過去の残渣が襲ってくるのですな。これは怖い。

てことで、第一幕はここにお開きとなれば…これはまたえっらい終わり方しやがったな! 見ようによっては終わった感じもクソもないんだけど、しかしこのものすごくすぱァんと切り落とした落し方はかなりワシ好みではある。2期決定ってことではあるけれど、実際ここでシメでも個人的にはアリだなーとは思った。ま、折角続きがあるんだし、勿論楽しみに見ますけどね。ヨタさんの物語を見てゆきたいってのもありますし。

●総評。上記の通り二期もあるので一旦の感想となるが…いやはや、ようやるわこんなアニメ、って感想は多分変わらないだろうと思う。あまりにも繊細で周到、どんだけ手間暇かかってんのかちょっと想像がし辛いほどのガッツリぶりが怖ろしい。作画演出の段階でそうなのだから、それを受けてあの演技陣が正面から受けて立ってんのもなおさら怖ろしい。こんな作品をもうあと半分見られるってんだからワシ怖ろしいや。あとお茶も怖ろしいので、ゼヒ二期も楽しみにしたいと思います。以上。