スペースダンディ/鬼灯の冷徹/キルラキル

スペース☆ダンディ・11話。サブタイ・お前をネバー思い出せないじゃんよ、って何かカウビバのアンディを思い出しますよね、とそんな感想を割と吹っ飛ばすこれまた独特の回。何度も言うけど独特の回しかないじゃんよ、ってのは置いといて。書籍型宇宙人による記憶操作という衒学的な脚本に加え、あるイヴェントからこっちずうっとモノクロに近い画面の状況もあって、なんかすげえSFっぽい…それもどっちかっつーと欧州辺りのヒネクレSFというか、そんな感じのお話だなあと思ったりした。

…ら、脚本が円城塔ってどういうこったよ! 何やってんだこのおっさん。ついでに作画も奥野浩行と森久司のコンビであり、道理でザックリしたエエ感じの絵が頻出すると思ったよ。そしてゲストキャスティングが山口勝平小川真司島本須美というGロボメンツ。何なんでしょうねこの喰い合わせ。ナレの矢島さんもGロボ組だしこれは同窓会っすなあ。つか矢島さんの予告のびーまいべいべが卑怯すぎるが、まあそれはいいや。

脚本のシカケとしてやっぱ上手いなと思うのは、冒頭と最後に出てくる箱を「開けると忘れる箱」ってな形で表現してるとこやねえ。言ってしまえば上記のとおり記憶操作ってことなんだけど、そういう切り取り方することで俄然不思議な間合いが発生する。にしても文字情報はともかく、登場する記憶媒体がどれもこれも古臭ェのは円城さんの趣味なんだろうか監督だろうか。あと島本さんの図書館長は確かに、もうちょっと読む本のジャンルを普遍的にしてもいいのではと思いました。何故池波で鬼平メインなの…。いや面白いけどさあ。

鬼灯の冷徹・11話。前半は一寸法師、もとい元一寸さんの話。物語最後で打ち出の小槌によって大きくなってめでたしめでたし…かと思ったら、その小ささこそが彼のアイデンティティであったので周囲から幻滅されてやさぐれている、という結構めんどくさいお人である。いちいちキレ方が堂に入ってるというか、あーこら常時同じことで腹立ってんだろなってな演技が面白い。ま、とりあえず経歴的に似たような境遇の桃太郎さんと知己になれたのでよかったんじゃねっすかね。

後半は山の神さんとコダマさんの話。イワ姫とサクヤ姫の対照的な二人を軸に、何というかその、女性のジメッとした人間関係を描くという…ううん、リアルやなこれ! いや野郎である上に人生経験的に薄っぺらいワシがリアルのどうのってのはおこがましいかもしれんが、鬼灯さんを見て取り繕っている、あるいはサクヤさんに対して屈折した言葉を吐いているイワさんの描き方が…ねえ。おもろいとかキツイとか以前に「…うん…生々しいよね…」って思っちゃいましたよ。

そんな状況下でも我関せずっちうか、「矯正のしがいがある人が好きです」とかフツーに言ってしまう鬼灯様はなかなか頼もしい。まァイケメンであることもその存在感に寄与してんだけど、外見と中身がちゃんと釣り合ってんのはよろしいわよね。矯正されたい、って人もそこそこいらっしゃるんじゃなかろうかと思うが、そういう人には興味ないんだろうなあ。うむ。よう判らんがまあいいや。

キルラキル・23話。原初生命繊維の巨大塊に対して戦いを挑むご一統。二本一組の生命繊維カッターこそが勝利の鍵である、よおしこれで対抗できるぜってとこでアッサリその上を行く武器を持ち出してくるラギョウお母んがコワイこって。でかくて強い原初生命繊維、圧倒的な攻撃力のラギョウお母ん、このチームに苦戦する我らがリューコちゃんたちであるが…っちうね。

善戦したりしてるけどこれアカンのやろな、と思って見てたら原初さんやっつけちゃいましたね。当然後には纐纈が控えてりゃこその流れなんだけど、やっぱ展開早いわなこのアニメ。ただこれは非常に贅沢な文句ではあるのだが、ずうっとテンションの高いバトル展開が続くのでこっちの意識維持が持たないというか、どこか今までの回で似たような感じの話があったんじゃねーかなって印象を持ったりした。ま、それでも十二分におもしれえのではありますがね。

マコちゃんの喧嘩部極制服の後に、ちゃんと四天王のおニュー極制服の活躍を盛り込んでくるというサーヴィス精神は十全でよろしい。やっぱ彼らが揃い踏みで見得を切るとワクワクするわよねえ。あと唐突に出てきた「裸の太陽号は人力航行船でした」っちう謎のネタが謎だったのだが、あーなるほど…人力ならばそこに寄与する人の熱血パゥワーがストレートに描写できるってことか。実際あまりの推力に空飛んでってしまう巨大船、っちう絵はなかなかおもろかったしねえ。