進撃の巨人/ヤマト/有頂天家族

進撃の巨人・21話。エレンたちへの脅威は継続する。巨人から出てきたらしき謎の兵士からの奇襲攻撃は成功したとは言え所詮は多対一、さあここから反撃だ…ってところで再度巨人化されてしまうこの状況。おまけにその女巨人、如例の高い攻撃力と知性に加えて「局所的に身体を硬質化させる」「損傷からの再生部位に優先性を持たせることができる」という、お前さんそら無いわあというレヴェルのチート能力持ち。

…あれだけドラマと描写を積み上げて来たリヴァイ班の精鋭が無残に殺されて…いや、ドラマを積み重ねたことで死亡へのフラグが立っちゃったと言うべきか。エレンが状況に納得し「俺には判った!」とカンドーテキな台詞を吐いたその直後にリヴァイさんの「俺には判らない」をブッコむ意地の悪い演出から先の、この絶望感は生半なものではござらんですな。咆哮とともにとうとう巨人化してしまうエレンをも斃し、彼の人間体を喰いちぎって逃走する女巨人をどうしたものか。ミカサとリヴァイで何とかなるの?  ねえどうなの? とまあ、クリフハンガーな作劇の大盤振る舞いでよろしいなあ。

興味深いのは女巨人が、何らかの感情や意図があるように演出されてるこってすな。中身は人間であろうから当然ではあるのだけれど、あの無表情で無慈悲なデザインと行動を提示した上で、ちょっとした間合い等の描写で明らかに「あ、何か思うところありそうだコイツ」ってな情報を与えられるってのは面白い。主に視線の芝居がモノを言うてる感じよね。そのおかげでこの女巨人さんには他の巨人たちのような「得体の知れない恐怖」はちと薄く、だからこそっちうか、純粋にその強大さが際立ってきてんなーというか。ま、未だに得体の知れなさ度合いは大量なものではあるんですが、ね。

宇宙戦艦ヤマト2199・22話。いよいよ目的地イスカンダル、同時に敵地ガミラスへとたどり着くヤマトであるが、早速デスラーからの手荒い歓迎が襲い掛かってさあどうする、っちう話。という次回へのヒキはなかなか重大だが、劇中のネタとしてはガミラス・ヤマトともにコスモ女子会のキャッキャウフフがメインである。ガミラス側の森・セレステラ・ヒルデの三人組は少々シリアス、かごの鳥であることにまつわる諸々の話。ラスト、死んだ小鳥の絵を見るだに…ううん、セレステラさんの行く末が気になるところではある。

んでもってヤマト側の女子会はまあ、うん、楽しそうでヨロシ。メルダさんがパフェに対して尻込みしてたのは、ワシらがセレステラさんの淹れた青い茶ァ見て躊躇するのと同じことですよね。でも喰ってみたら旨かった、宇宙にこんな旨いものがあるとは…ってのはガミラスと地球の差というより、メルダさんの育ちの問題かもしれんなーとか思った。多分パフェなんてな下世話なスイーツ、家柄的に喰ったことなかったんと違うやろか。…今ふと思ったが、このヤマト側三人のお嬢さんたちは生まれがみんな地球外なんやよね。コスモやなあ。

陰謀と野望の主であるデスラーさんは確かに悪役なんだけど、「テメエの手は汚さず言うてるだけ」とか揶揄されてるスターシャさんも確かに、この作品においてはどうも素直に「エエ人」かどうかは不安なとこやよね。てか、森さん祭り上げて大統合ですよーとか言うてるデスラーを「ええーうっそーん!」とか言いつつテレビ見てるスターシャさんは、なんかこう…お前もうちょっと自分で動けや部屋でテレビ見てるだけかい、とか思ってしまった。いかんいかん。あとヤブさんはどうやら地球を離れ、ガトランティスとかそういうとこで生きていくことを決意したようですな。がんばれがんばれ。適当に。

有頂天家族・9話。偽右衛門選挙を間近に控え、なんやかやと気ぜわしい年の瀬な狸たちである。ずうっと石に化けっぱなしの「へそ石様」なるお狸にご申告したり、オブザーバーとして天狗様をお迎えしたり、狸社会もいろいろと面倒なことだ。面倒っちゃァ天狗の赤玉先生その人であり、折角選挙にお呼びしようとすればヘソを曲げるワケで。先生の機嫌を直すような慰撫遺留をする矢三郎さんの言辞が毎度ながら面白い。ざっくばらんと堅苦しさのモザイクみたいな先生との会話は、それだけで妙にニヤニヤしてしまうおかしみがございますな。

さて。選挙を前にしての不安は夷川の動向である。どうやら何がしか企んでいるようであり、それも相当に底意地の悪い作戦なのであろうな。阿呆兄弟のイラつかせ加減といい早雲の腹に一物具合といい、悪役としての押し出しは十分。あとはどのようにそれをひっくり返して下さるかってとこでしょうけど…いや、うん、キッチリひっくり返してくれると期待してますけどね。このまま下鴨のどなたかが狸鍋になって無常的にオシマイ、とかそんなんじゃないと思ってますけどね。さあ。

ここまで引っ張ってきた海星さん、満を持してだか何だかのご尊顔開帳。やたらとトゲトゲしい言葉遣いに乗っかる思いやりは今までの積み重ねとして明らかだが、ううん…なかなかかわいらしいお人、お狸じゃないですか。柚子湯の風呂屋のあっちとこっち、言葉や石鹸の投げつけあいという他愛もない関係性が微笑ましい。…にしても、こんな状況下でもノンシャランでイージーゴーイングな態度そのまんまの矢三郎さんは、エエ男というべきか否か。ま、好いたようにしたらよろし。