アクエリオン/ラグランジェ/ちはやふる/ラストエグザイル

アクエリオンEVOL・6話。なんかよう判らんラブラブ訓練中に襲来するカグラさん。「甘くて臭い俺のクソ女」たるミコノさんがさらわれてしまうという危機に際し、浪川のシュレードさんは立ち上がる。絶大な力を持ちつつもアクエリオンの操縦には耐えられないその病身は、終始カグラさんを圧倒し撃退するのだが…と、そんな風に書くと確かに悲劇的にカッチョ良い展開ではあるのだけれど、ねえ。


その実際は、やたらめったらお耽美ィシュレードさんの音楽台詞とか、カグラさんを討って「フッ」と笑った直後に「はあはあはあ、うーん」と反応がなくなっちゃう凄まじい唐突さとか、もう見ててツッコミと楽しさがおっつかなくて困るようなお話である。ラストでいかにも死んじゃったように見えるけど、まァ体力消耗でしばらく戦闘不能とかそういうことではあろう。…だよね? まさかマジ死にはしてないよね? 悲劇的に死んだ次の話が皆で胆試しイヴェントとか、そんな斬新なシリーズ構成とは違うよね? まあこの作品のことだからある程度覚悟はしておくけれどもさ。


にしても、今回の敵であるアルテア世界の人たちは、前シーズンの敵たちほどに絶対的な人外性を持ってるわけでは無さそうだな。カグラさん普通に喧嘩してたし、ワイヤ使ってタワー降りるなど妙にリアルな動きしてたし。あとカグラさんがアマタさんを「臭いがない」つってたのはあれ、やっぱし「自分の臭いはよく判らない」とかそういうギミックなんですかね。あるいはホンマにアマタさんには人間としての臭いが無い、特別な存在なのだろうか。ふむ。


輪廻のラグランジェ・5話。先週のムギナミさん登場ののち、彼女はすっかりこの日常に溶け込んで見える。その中にあってランさんは、ムギナミさんと敵対関係にあるようなのだがハッキリとは判らないこの状況にヤキモキしている。この時点ではムギナミさんの方が余裕も立場も一段上。ランちゃんもバットさかさまに持ってる場合と違いますぞ。


そしてムギナミさんの無双っぷりは加速する。小悪魔的な挑発によって周囲をあしらい、その上何かチャラけた「オニイチャン」まで出てきて「あーこりゃまどかとランの心が一旦曇っちゃうというタメのシーケンスやな」と思ってたら…うへえ! ヴィラジュリオのオニイチャンによる予想外の一撃! ムギナミさんの心の方がポッキリと折れてしまう。うーむ、30分の尺の中ですんげえ浮き沈みだなあ。エエように翻弄されてるワシは良い視聴者でありますわ。


ヴィラお兄ちゃんのあの厳しい言動は、まァ十中八九ムギナミさんを思ってのことでしょうけどね。なんかこの人はこの人でエエモンオーラが出てますもんな。しかし顔掴まれて寄生虫だの無駄飯ぐらいだの言われてるムギナミさんのシーンは、何が起こってるか俄かには理解できてない「笑顔と涙」がなかなかに心痛かったなあ。とまれ、このヘコまされによってムギちゃんが本当のジャージ部に歩み寄るキッカケとなりますでしょうか。あと今回はツッコミ仕事なくて良かったね司令、とか思ってたら予告でキッチリとイわされてた。安息の場所はありません。


ちはやふる・5話。新さんに拒絶されたってことでコッチから突っかけてって会いに行く千早さん(とお供の太一さん)である。こういう後先考えない行動力だけは豊富に持ってはるのが千早さんではあるよな。んでもって幸い新さんには会えたのであるが、彼は既にかるたに対してのモチベーションを失っている、どころか積極的に忌避している様子である。…世界でもっとも尊敬していたかるたの師である祖父、その死とかるたが直結しているとなれば…ね。てことで、今回は千早さんによる新さんのアイスブレイキングのお話。典型的な「イノセント最強主義」っちう必殺技でもって、どうしようもなく心の奥底に縮退してしまった新さんを引っ張り上げるまでの一幕ですな。


行きの電車中に太一さんが思う、千早さんと恋についてのアレコレ。ニブチンヒロインに繊細男ってのは定番ですが、太一さんは「会いたくないが一緒に居たい」のが恋人だと呟くワケで。それはそのまま、新さんと千早/太一の二人、あるいは新さんとかるたについての関係性とパラレルである。それだけ心乱される、尋常ではない関係性だということだ。ま、とりあえずは新さんの凍った心に一鑿のクラックは穿たれた。今はただ、彼の帰還を待ちましょう…ちうこっちゃね。


元から丁寧にも程がある作品ではあるが、今回は特に繊細な脚本なだけあって、全体にものすげく気合の入った作画演出がされていた感じがあったな。桜並木を走って帰るシーンとか、太一さんわざわざ「片手に手提げ袋を持っている」という重心で走らせているし。おまけにその道々喋らせるとか…まったくもってめんどくさいな! あと新さんのお隣のお嬢さん、「純朴地味な田舎娘」を煮出したようなキャラデザインが素晴らしかったです。千早さんと並ぶとデザインの差異がすさまじい!


ラストエグザイル-銀翼のファム-・16話。反ルスキニア勢力はミリアやヴァサント、サーラ・アウグスタ等の「容」を得たことで一気に走り始める。悪逆非道な戦争狂・ルスキニア許すまじ。しかしルスキニアさんたちはそういった動きを逐一知って予期しつつ、己がオシゴトの方にしか意図を向けていない。北の果てにあるその目的物とは一体何なのか。それがあれば戦いも終わる…ううむ、ヤな予感しかしねえのではありますが。なんか知らん封印を解いてから「ふははははは」とか悪役笑いすんじゃありません!


ルスキニアも反ルスキニア勢力も、実はその根っこにある行動原理は先の女王ファラフナーズである。世界の平和という巨大な目標を前にして、さてどうすべきかの方向性が間逆なのだろう。素朴に笑うトゥランの先住民、自らの無力に涙する年若き元首。世界は単純な筆致の概略絵ではない。末節を棄てなければ全て滅ぶのか、あるいは棄てられる末節こそが人の本質なのか。そこら辺の描写をちゃんと盛り込んでくるのは(最終的にどうオチをつけるかという問題はありつつも)意欲的ではあるなあと思う。てェかファムさんの「あんましデカい考え方ができない」っちう主人公キャラが良いカウンターバランスになっている、ような気もするね。


そしてファムさんの人タラシ能力はちゃァんと発揮されるのでした。今回の目標はサーラさん、キッチリ落とされてて見事やねえ。ただその、今回の場合は何だかサーラさんの絶望フラグのための前フリっぽい予感がしちゃったので素直に喜べないワシではある。だって絶対、ルスキニア兄さんの秘策の方が(一旦は)勝つ流れだもんねえ。…っちうこととは全く関係なく、冒頭のソリ足回りのペラ駆動マシン! エエねえシヴいねえ! ロシアというよりソ連やねえ。