カイジ

逆境無頼カイジ 破戒録篇・最終話。大勝利のカイジさんは、身も心もボロボロとなった一条さんを焚きつけ、彼らの流儀らしいエールを送る。次いで(そこはかとない安っぽさがカイジさんたちらしい)勝利の美酒に引っ掛けられ、カイジさんは獲得金の大半を遠藤さんに持ってかれてしまう。そしてバカ正直にかつての仲間を救いつつ、自分はしょーもないパチに全財産をすっちゃって、「やさしいおじさん」に金を貰って商店街の焼肉屋で再会の(そこはかとなく安っぽい)宴をぶち上げる…というね。


この一連の話で、カイジさんのキャラクタ…とんでもなく粘り強くて土壇場に強い彼の別の一面、どうしようもなく「甘っちょろ」くてダメな面が描かれている。ダメ男の方はともかく、彼の強さに不釣合いな甘さをどう読んだものか。原作を含めた作品総体がここで終わっているならば、留保つきながらその甘さを肯定的に描いたものと見ることができるけれども、原作はまだ続いてるからねえ。最後の最後、その甘さのおかげでバッドエンドになるか、あるいは他の登場人物にはない属性として勝利をもたらすか、あるいはそんなもん捨て去ってしまうのか。ま、結論は先の話としてとりあえずは一旦のシメ、ってとこですな。


黒服の「やさしいおじさん」に映画版にてカイジやってる藤原竜也。伊達に演技経験が多いワケじゃなく、結構な量と演技力が求められるキャラをしっかりと演じきってたな。声優的演技とは少々離れていたが、ゲストキャラとして求められるものは充分じゃったのではなかろうか。カイジさんも利根川さんも、似たようなキャスティングなワケだしね。


●総評。前期よりかなり間を開けての第2シーズンである。流石に前期までのネタ、限定ジャンケンやらカード勝負やらに比べると、話のインパクトと構築性が少々落ちるのは否めないが…いやもう、ここまでキッチリとエンタテイメントしてくださればあまり文句も無い。特に沼勝負、アレをアニメとしてやると聞いた時は「大丈夫かしら」と思ったけどねえ。うーん、多少タルくもあったが、何とか乗り切ったってとこですわなあ。よし。


それよりもまあ演技陣ですよねえ。前作に引き続き…いや前作に輪をかけて過剰にサーヴィスを押し付けてくる声優の皆さん。主役のカイジさんの荻原さんはホンマ、この人なしでは作品を語れないくらいの存在感を獲得してますよな。他のアニメ吹き替えでイケるかとなるとまあ、本業もあるので難しいでしょうけど。そして脇キャラ、班長のチョーさんに一条の浪川さんにおっちゃんの二股さんに会長の津嘉山御大に…ナレータの立木おっさん。もうノリノリ、アフレコはパワーと神経使っただろうけれど、さぞかし楽しかったのではなかろうか。作品のカラーもあるだろうが、そのくらい各声優の演技勝負は見所となっていた。


作画に関してはあんまし言うところなし。アカギにカイジ前期にと、もう福本作品をアニメ化するに当たってのノウハウはほぼ熟成したってとこですな。フツーに見逃しちゃってるけど、改めてこれ相当なことよ。うん。


てことで堪能しました。面白かったですと小学生のような感想。…これ以降のアニメ化は…うーん、まあ、難しいところかな。