ピングドラム/神様ドォルズ

輪るピングドラム・6話。リンゴさんの行動原理とその背景についての話。いまだ彼女の未来日記にどのような超常的効能があるのか、そもそも日記がホンマにピングドラムなのかはちっとも明らかではないが、とりあえずリンゴさんについての表面的な謎は大分明らかとなった感じ。そしたらそしたで縦ロールマサコさんについての謎が控えてるんですけどね。彼女もペンギン持ちさんでしたか…ははあ。


リンゴさんの石田タブキさんへのストーキング。それは亡き姉・モモカさんがタブキさんと恋人であったこと、そしてそれが喪われたことで両親との関係性も変質してしまったことによるものであるらしい。


ふうむ…。こうしてみると、リンゴさんの愛というか執着は、必ずしもタブキさんへのベクトルが窮極目的じゃなさそうな感じではある。タブキさん・姉のモモカさん・両親、それぞれへの愛は当然あるのだろうが、リンゴさんが最も執着しているのは自分を取り巻く世界が安寧であり永遠であること…つまり自分そのもの、であるっぽいな。自己愛を推し進める過程としてタブキさんへ過剰な愛を注いでいる、と。いやまあ、この監督のことだ、そんな安易な構造で済ませちゃう可能性は大きくないだろうけどね。…しかしモモカ姉ちゃんもリンゴさんに劣らず、大概な人だったっぽいなあ。


上記マサコさんはもちょっとこの構造に深く入り込んだお人のようで。カンバさんに関わった女性の記憶を抹消して回ってるのか? てことはこのお嬢さんもストーカー? 目的はカンバさん? まそれはともかく、あの不思議スリングはピンドラ的世界観の何かなのかしらん。そのうちカンバさんたちもそれぞれ不思議ウェポンを持つようになったりするのかな?


神様ドォルズ・7話。キョウヘイさんとアキさんの過去。それは現在の彼らのキャラクタ、状況を作り上げるに充分な衝撃力と昏さを持つものである。狭くアンバランスなコミュニティにおける、人の意識と関わりで生成された檻と澱。そこに「先生」という外力が加わった故に発生した惨劇は、今も彼らのド真上に影を落としている…というね。


うへえ、実にドロドロしたエピソード作りで結構感心しましたよ。「ムラ」の圧倒的な湿気と閉塞性の描写が大概である。犠牲となる先生はアニメにおけるこの手の「過去の幻」っぽいキャラの類型なんだけど、陰湿な村八分の末に中学生のサブ主人公と寝た後に殺害されちゃう、というまあ寸止めも何もねェな! っちう具合が何というか。んでもってこの先生自体もちょっと精神的に弱いとこがあって、これで未成年と寝ちゃったの2回目ってのがこれまた。無論あんな胸糞悪い状況にあってバカ健全に過ごせるわけもないだろうが、わざわざそういう設定とキャラ作りとシーンを見せるという脚本が容赦ないわよね。


直接の悪役となるあの義兄さんの造形はまあ「そういう機能としてのキャラ」という程度だけど、上記の先生とか…あとあのキョウヘイさんのお父んね。こういう微妙なところに生理的な違和感を置いていくヤリクチが上手い。お父ん、先生の窮状を息子に訴えられて「ほなお前があの暴力野郎に直接言えや。それができひんねやったら黙っとけ」って…いや、実際の村内パワーゲーム見りゃそれが正解なんだろうけど、息子に対して堂々と言う台詞かいな。惰弱さはともかく、うっとうしくも小さいプライドが困りもののお人だなあ。