ブラック・ローズ

●ナンシー・A・コリンズ「ブラック・ローズ」読了。バンパイアハンター、ソーニャ・ブルーシリーズの外伝っちうか特別編っちうか、そんな感じの本である。何やらTRPGとのコラボ小説のようで、へーえそういうのもあるのか。原作者御自らそういうのにガッチリ関わってくるってのはアチラではようあることなんですかね? これ、ファンからしたすんげえ嬉しいこっちゃないかと思ったりするんですが。ま、それはそれとして。


悪徳と堕落の街・デッドタウンにて覇を競い合う二つの吸血鬼勢力、その中に割って入ったのが我らがソーニャ姐さんであって当然状況は流転しちゃうのである。なーるほど、コリャ「用心棒」のプロットそのまんまですな、と思ったらちゃんと冒頭の一文にその旨明記してありました。ごめん、とばして読んでた。卯之助兄ィの役が居ないのは少々残念だが、それ入れちゃうとちと内容が膨らみすぎるかな。


上記の如く一種のコラボ企画なんだけど、ワシがゲーム側についての知識を持ってないせいか、サラッと見た感じほとんど違和感は感じられない。何か専門用語が増えてて特殊な設定が増えてるかな、って程度で、両者はかなりしっくりと馴染んでいるのではないでしょうかね。


…しかし何ですな、エエ感じに「外伝的軽さ」が感じられて悪くないっすな。ここでの姐さんは完全に第三者勢力であり、本編作品の持っていた「主人公としての運命」等のテーマはいくらか後景に下がっている。スピンオフのエンタテイメントとしてエエ感じ。いや、軽いったってそれはテーマ的なアレですんで、ゴアやヴァイオレンス等の描写はいつもどおりガチなのでご安心を。何が?


うん、楽しかったっす。ちょっと気になったのは、姐さんの呼称が本編通してずうっと「よそ者」なんですよね。最後の二三ページ辺りまで名前を呼ばれることが無い。ギミックとしては判るんだけど、そこまで面白さとして効果的かっちうと微妙ではあったし、何より「よそ者」っちう単語が文章上で悪目立ちしてたキライはあったな。これは翻訳した結果の問題かもしれませんけどね。