●荒川アンダー ザ ブリッジ・7話。この荒川下という宇宙において、リクさんは教師という活計を得るに至る。その目的は荒川下に常識を根付かせることだが、いくつかのしょーもない出来事によって彼の「常識」の定義がどうも揺らいでいるのに気付くのでした、という話。まあその、そんな感じのメインスジは少々強引かつご都合的なんだけど、基本的にそういうトコを見る作品じゃないですしね。シュールギャグ話においてスジはあくまで添え物。…そうじゃなくなったら、まあその時はその時だ。
当然のことながら幸先良いスタートとは言いがたいリクさんの授業だが、しかしちゃんと顔を出すニノさん。理由を問われれば「恋人だから」とそれだけだ。…彼女には本当、結果だけがあってその過程やら理由やらがほとんど無い。それは通常は脆弱さの現われなのだけれど、ことこういう作品のこういうキャラの場合は強みに転化する。砂上の楼閣っぽい「過程のなさ」じゃなく、定理としてのそれに近いのだろうな。単純であることは強固なること。一面、しんどいとも言えますけどね。
にしても、やっぱちょっとまとめて見るには平板な印象が出てくるなあ。何かの番組内アニメみたく、毎週十分とかの放映形態でも良かったような気もする。贅沢な言い分ですけどね。
●四畳半神話大系・4話。さて今回の巻戻し人事は…あれ、何か特定のクラブってワケじゃなく、今まで割と後景に居てた「師匠」と軸としたグダグダコミュニティ、ってとこですな。あとついでに甲斐田のハヌキさんも再登場。そしてこの大学生どものやることってのは…まあ、何かヘンなもの探してきたり宿敵とのしょーもないいたずら合戦を繰り広げたり、そういうの。ああ、大学(八回)生らしいダラダラ世界だなあ。
てことで、今回の主人公の学生生活には今までのような差し迫った危機感や焦燥感はあまり感じられない。アンチクライマックスな展開といいナンセンスなクエストの連鎖といい、割と謎の回だったな。今後の展開への布石っぽいものが多かった、ってとこでしょうか。無論あの胡散臭くも世の中の役に立たないバカ学生生活の空気感はすげえ良かったのだが、ちょっと「繋ぎのお話」っぽい感じもしたなあ。
話がしょーもなければしょーもないだけ、異様に上手い作画仕事と監督らしい妙な演出が「贅沢なバカやってんなあ」ってな感覚が深まってて、そこら辺はとてもよろしいと思った。ニセモノのちちが巨大化するイメージシーンのあの動きとか、くっだらねェなー! …あと、小津さんの暗躍が少ないと何やらホンマ、普通に主人公のエエ悪友(?)っぽいね。ホンマ、何なんやろ彼。彼に限らず周囲みなそうだけどさ。
●さらい屋 五葉・5話。五葉の成り立ち、そしてウメさんはいかにして一度限りのはずだったかどわかし稼業を続けることとなったのか、の話。盗賊稼業から足を洗った経歴を持つウメさんは、他ならぬ娘のためにヤラカしたかどわかしの成果に喜びはすれど、またもやあの昏い世界に戻るつもりは毛頭ない。けれどその「足抜け」という、今の幸せの裏にあるモノに気付いたとすれば、どうなるか。
自分が足抜けできたのに、同じ希望を持っていた兄貴分がそうはいかなかったこと…その上、その理由の一端に自分があったこと。ご隠居の言うとおり、単なる同情や後ろめたさに過ぎないかもしれないウメさんの行動は、しかし同時に彼の人となりをよく現しているとも思える。初っ端はマサさんに辛く当たるも、今は一番気にかけているお人ですもんね。…ま、この兄貴分(とその強請り相手)も本作のメインに入ってきそうではあるな。
しかし相変わらずのネチこいテンポ。脚本や演出の、言うなれば「粘性」はすげえ高くてサラサラと流れ行かないのだが、画面設計や色彩はあくまで枯淡とした風情なのな。この組み合わせはいかにも和風、なのかも知れない。今回は雨のシーンが多くて余計に落ち着いてましたね。…全体にシブい緑色だったのはアレっすか、利休鼠の雨が降る、ってヤツっすか。