ニッポン四角形の謎

●ホワイトボードにビルの絵を描いている人を見てふと思う。多分あの絵、頭脳明晰な探偵さん的な人が見たら「この絵を描いた人はチャイニーズ、あるいはジャパニーズだね」とか推理すんだろうなあ…とか。


ポームズ、君が外国語に詳しいことはよく知っているが、しかしこの絵には文章も何も書いてないじゃないか。何故そんなことが判るんだい? 初歩的なことだよパトスン、この絵にある窓の四角形の描き方を見たまえ。まず左辺の一画目を上から下に描き、それから何故か上に引き返して上辺と右辺を円く描く。さらにそこから筆を左下に持ってきた後、左から右へと下辺を引いている。普通の人はこんな面倒な四角形の描き方なんかしないよ。ほう、確かに妙だ。しかしどうしてかの国の人はこんな描き方をするのだろう。それはねパトスン、あの国でmouthを意味する言葉がそういう書き順の四角形なのだよ。身に染み付いた習慣というものはそうそう抜けるものじゃないということさ。たとえそれが走り書きの簡略な絵であったとしてもね。


…というギミック、誰か使ったりしませんかね? 海外のミステリの人。


●漢字ネタは今、まだ結構アチラ世界で通用すると思うんだよな。そういやトマス・ハリスの「レッド・ドラゴン」で、犯人さんが現場にわざわざ「中」の字を彫りこんでて、レクター先生が「この字の意味は麻雀の赤竜でありアタリの意味でもあるのだぞよ」とかウンチク垂れてるシーンがあったっけ。エキゾチックな雰囲気が感じられたりすんでしょうねえ。ま確かに、日本の殺人現場にヒエログリフの鳥とかマヤ文字の横顔とか描いてあったら怖いもんね。うん。