銀魂/バスカッシュ/けいおん

銀魂164話。所謂迂回ルートというか何というか、な話。…銀魂さんがテメエで使った表現なんだからね! ワシじゃないからね! てな感じのかなりどうでもいいお話の二本立てである。まずはAパート、万事屋銀さんならぬ万事屋金艮ちゃんという名のニセモノさんが出る話。ニセモノの正体がちっともオチになってない上に、そのオチてない状況でムリヤリ「おわり」というどうしようもなさが実に酷くてよい。ダメだけど。どないやねん。


Bパートは机の中から出てきた名状しがたき未来の存在がメガネにアレコレ言う話。これまた一つ々々のネタの精度がゆるくて、何というかもう、ぬるま湯のヘボっちさであってどうなのこれ。「カステラみたいな甘くてホレ、あのドラ焼き」「あー、言っちゃった」っちう会話のくっだらなさやよし。てらそままさきのおっさん(関西人)の、普段の演技からちょいと離れたスの喋りがぐだぐだぶりを加速している。


…てことでまあ、迂回ルート回としてかなり適正な「あー、まあこんなもんじゃね?」感が出てたなあ、と思います。あと冒頭の魚眼レンズ神楽さんのシーンとか、何故か万博クレしん的なダッシュ作画とか、急にエエ感じの絵になるのが楽しかったけど、瑣末事やな。うん。


バスカッシュ! 14話。赤ロンゲさんとの決着、そして月へ…の巻。案外今までも単純にイケイケドンドン! てな感じの話ではなかったのだけれど、今回はそれにも増してちょっと落ち着いた語り起こしであるな。試合開始までの時間を、雨の予感やデストロイさんの腕の疑惑や引いた構図の止め絵風景や、そういった「雰囲気」の要素で見せている序盤。一旦試合となればバスカッシュー! とか言って割といつもどおりなのだけれど、話のシメとして持ってきた「パパ暗殺」のドライな描き方でサンドイッチしている感じ。さて、セラさんはどう思うか/動くのか…ってとこかな。


ラストのヒキは謎秘書さんによる挑発試合。「指一本触れられない」という台詞を巡るちょっとした小競り合いであるが、ここでもヤケにクールなダンさんが見られるのであり、まァ素直にカッチョ良いヒキなので良かったっすね。試合中も「ナイスパス」で一旦引いたりと、このガキ王様も何やら変質しているのでしょうか。


アバンの三人の振り返り台詞群、一応は主人公であるダンさんのパートだけ果てしなく短いのが実に彼らしいなあ、と思った。これも歴としたこの種の主人公属性よね。


けいおん! 13話。番外編にして最終話。各々のお嬢さんの小さな状況、困ったり悩んだりしていたパラレルな時間が、ユイさんのヘボっちいメールによってゆるりんと繋がる、そんな冬の一日のお話。…結局鍋はどうなったんだろうな。カレーチョコ鍋にしたのか? 喰ったのか?


大きな事件の起こらない日常的な彼女たちを描写するってことで、かなり丁寧なつくりになってた感じ。冬の寒さと各々の小さなモヤモヤ心情のためか、いつも以上にアンダーな色彩設計で陰の多い舞台、と普段の「けいおん!」と比べるとちょいと地味な画面だったりね。あとこれは特にアバンで顕著だったんだけど、カメラ前を横切るモノによってワイプ気味にシーンを切り替えたり、間とテンポを長めに取って落ち着いた雰囲気を出したり、てなちょいと凝った(でも地味な)演出もそうだな。…顔を映さず脚の演技が多いのもそういう意図でしょうが、必然的に脚フェチい絵になってんのでそれもよし!


あとまあ、手と足の小さなちまっとしたライン取りもかわいくて良かったな。手袋ギターする前のユイさんの絵とか、マスコットキャラのような手がかいらしかった。


総評。京アニブランドとしてワタシが意識して視聴したのはハルヒらきすたけいおん、とこれが三作目なのだけれど、中では一番楽しく視聴できたなあ。それはこの作品の軽みによるものだと思う。前二作でワタシが感じていたある種の「しんどさ」は、語っている内容とその形式の差異がワタシにとってどうもしっくり来ていなかったことに起因するようだ。つまりまあ、脚本は「ギャグですよー、気軽に見て下さいよー」ちうてるのに、作画/演出は「すげえですよー、細部まで見逃さないでねー」と主張してるような、そんな感じ。特にらきすたではその傾向が強く、心安く見させてくれない感があったのだ。


無論それはワタシの側の勝手な思い込みに過ぎない上に、じゃあこのけいおん! が細部におおらかな画風のアニメなのかっちうと全く反対なのよね。三作を経てワタシが見慣れてきたってのもあるだろうが、やっぱそうねえ、ハルヒ辺りと比べると固さが抜けたというか…パワーとテクニックの注入具合が堂に入ってきた、ってとこも大いにあるように思う。ああそうだ、脚本と画面の「ベクトル」が合ってきたってとこもあるかな。かわいいお話のシーンでは作画リソースをかわいい方向に投入してる、とか。


ま、そんな回りくどい言い方せんでも、「ずいぶんとお気楽に見られるようになったなー」と言えばエエんですがね。ユイさんのとことんダメちんなキャラは賞玩できたしな。…でもそうねえ、アズサさんはもっとエエことあって欲しかったように思う。具体的には同僚がね。やはり孤立した学年ってのはどうも…かわいそうでねえ。まいいや。うん、楽しかったです。