ガンダム00/ドルアーガの塔/ソウルイーター

機動戦士ガンダム00・最終話。古谷徹…もとい、古谷っぽい人がガンキャノンとかガンタンクとかガンダムとかに乗って負ける話。ラスボスメカとしてどんなんがインパクトあるかなあと脚本会議してる時にこのアイデアが出たらまあ、それ頂き、とか思うわなあ。


思想的にも主義主張的にもなんか色々あったはずの各キャラなのだけれど、そこらは割と後景に引っ込ませて延々とロボバトルする展開の最終話。例によってリボンズさんたちの悪役要素はほぼその口調だけなので、敵味方の行動が「対決」の一要素だけになっちまうと何がどう悪なのかよう判らん。ひたすら上滑りしてゆくお互いのお題目をよそに、ガッツリとバトル作画を見せるに執心する演出は割と正しいと思う。


…思うんだけど、どうも起伏には乏しいわな。他の作品と比べるのはフェアじゃないが、富野のアレコレと比べると…やっぱ、圧倒的に足りないのは「情けない死」「ゴミのような死」だろうなあ。Vガンのクロノクルさんの落下ののち後頭部強打で死、とかさ。まそれは極端にせよ、イノベイターさんたちが型から抜いたように無個性なクールキャラばっかだとか、そういう「灰汁の弱さ」は最後まで気になったりはした。


もうなし崩しに総評も絡めちゃうけど、そうなのよね。全方向になんとかしようとして、結局とっかかりの乏しさに繋がったキライがあるのだよなあ。また戦争抑止としての武力とか、人類を導くための超越存在とか、そういう巨視的な題目があまり有効に機能していなかった…まあ、作り手の方も別にどうでもよいと思っていた、てな雰囲気もちょっとアレだった。


こうなると個々のキャラに肩入れできるかどうかが勝負なのだが、個人的にはそこら辺もちょっと苦しくてねえ。…そーだよ、なんでブシドーさんがあそこまでフェイドアウトしちゃうのよ! もっと卑怯なジョーカーカードとしていくらでも使えたでしょうに! ダメかなあ。


てことで、んー…質の高いのは認めるけれど、全身でノリ切れなかった作品ではありました。って映画版に続くの!? 木星オチ!? ウラシマンとかガオガイガーとかですな! ってそこは素直にシロッコを挙げとこうよ、ってか。


ドルアーガの塔 〜the Sword of URUK〜11話。地上においてはvsケルブ、塔内にてはvsニーバ。主人公の前座としてってのは明らかなんだけど、それなりに骨太なバトルを経ていよいよのギルvsジル…である。パーティで戦う主人公たちに対し「一人で戦う! その孤独を知らぬ者には斃されぬ!」とまあ「ドルアーガジョーク」な台詞を叩く黒ギルガメスさんがなんかエエなあと思ったら…ああ、そうか! ウラーゴンか! 彼こそが孤独の象徴でしたねえそういや。


そんなゲッシュ/誓言みたいな予言っぽいシカケとか、結局は兄弟の相克となる展開とか、何となく神話のアーキタイプっぽい要素が盛り込まれてるのは遠藤さんの趣味かしらん。…ドルアーガの塔の真の姿が大量破壊兵器なのはまあ、ともかくだ。ラピュタの神の矢を思い出したりしましたよ、あれ。


塔と地上のメンツも合流しそうな勢いだし、さて次回は総決算ですかね。しかしジルさんの行動原理に明確なロジックを設定しないまま押し切ってきたのは、なかなかのパワー脚本ではあるな。ラスボスのニーバ兄さんの反逆理由もごく概念的なものだしねえ。それで曖昧な感じが少ないのは流石ではありますよ。


ソウルイーター最終話。恐怖と不確定を排除した上での鬼神さんの強さは、無理と無茶をその手に宿したマカさんの「ただのゲンコ」に敗れ去る。ぐずぐずと饒舌を垂れ流す余裕のモードから、小心と卑怯に縮退したようなダメ男モードにグイッとシフトする鬼神さんの演技がキモですな。古川のおっさんもこういうキャラはやってて楽しかろう。


鬼神を斃した直後、その余韻だけを残して終いとするシメは何やら潔くて、これはこれでアリやなあと思った。あれが最後の鬼神だとは思えない…っちう定番ギミックに言及しといて、それを跳ねとばかすような台詞は頼もしくてよろしい。ま、ちょっと慌しい雰囲気は拭い切れなかったけれどね。


総評。判りやすくてノリが良い、いかにもマンガ的な(センス古いか?ワシ)味付けは決して欠点ではないと思う。が、あまりにも既存の枠構造や定番イメージに寄っかかった作り方に、ワシの個人的嗜好は最後まで違和感を感じつづけちゃったなあ。


何故このアイテムが必要なのか? そういう話だから。どうしてこのタイムリミットなのか? そういう設定だから。…ワシは古臭い人間なので、それら原因と結果の間にある、ウソ臭くももっともらしい因果のでっち上げにこそ興奮するのだけれど、結局そういう要素は薄かったなあ。無論これはワシの嗜好の問題であり、以前も言ったように掲載誌を考えれば妥当な所なのであろう。


それでも見てた理由の一つは、ボンズ名物ボリュームたっぷりのアクション作画でありますわな。瞬間最大風速てな表現をすることがあるが、ことこの作品においては何度その「最大」が訪れたことか。いやあ、ぎゅんぎゅんと跳ね回る筆致には毎度感心させられましたですよ。うん。


あ、開始当初よりあったマカソウルの声優っぽくない演技はワシ、あまり気にならなかった。特にマカさんのあの「不思議なナチュラルさ」はエエやんかいさ。こういう若い人たちはやってるうちにどんどんと板につき、そして見てる側もどんどんと慣れてゆくものさ。普通はそうだし、この作品でもそうだった。何より脇キャストがガッチリしてたものなあ。


てことで、まあ…んー。個人的には微妙なことばっか言ってますが、なかなか労力の行き届いた作品だったのではないかと思います。ワシがもっと柔軟な嗜好してればねえ。