あさっての方向。

あさっての方向。8話。家出のからださんである。案の定「もと幼女」である身の上では自ずから限界があり、ゲレキショ一つ書くこともできない。意気はひたぶるに空回り、冷たい夜の雨ぞ降る。思い出すは今まで断片的に提出されてきたからださんの過去。このタイミングでこんな回想を出されたらそりゃ参るよ。


「がんばろう」という鼓舞の言葉が、どんどんと身を切るような絶望感へと変わっていく過程がどうにも切ない。はじめのうちは、微速トラックバックや色調によって明るく広いイメージで描かれる新たな世界。それがゆっくりと重く陰鬱なカラーを帯びてゆくワケだ。昼の間にからださんが居た場所の「今はからださんが居ない雨の夜」という一連のカットがすんげえ効果的じゃったのう。


街の人々が、通り一遍の無関心・悪人キャラだけでなくて、ちゃんと相当な善意の人も出てくるのがよろしい。そして、そういう善意からも離れざるを得ないからださんのベクトル。離別の意志を結果的に後押ししてしまったのが連れ戻しにきた尋さんの存在だった、という皮肉な結末はドラマチックでした。やっぱ駅は別れの演出装置だよねえ。