Pの悲劇

●何かいきなりプリンを食べたくなった。それも表面にコゲがある高級なんじゃなくて、安っぽい庶民プリンである。人間には…いや、漢にはそういう瞬間がある。これは多くの方に首肯して頂けることだと思う。


スーパーに行ってプッチンプリンを買おうとする。が、その横にあるのは何でしょね? メグミルクのMEGプリンとな? そっちの方が面白そうだな。世間的にはメグミルクもダーティイメージを払拭できたという認識なんでしょうか。どうでしょうか。とにかくそれを買う。どうでもいいけど「MEG」って素粒子物理学っぽいなあ。MeVからの類推か?


3つ一パックのを買ってきてちまちま喰ってたのだが、このMEGプリン、カラメル部分の構造が妙に弱いんである。1個目喰ってるときも、カラメル部分がつるりとズレ落ちたりしてたのでヤな予感はあったのだ。


…そう、やっちまったのだ。皿が小さかったのが敗因である。底のペグを折って皿の上にプリンを落とす、その角度がちょっと悪かった。皿の端の方に着地したプリンは、振動と傾きの相互作用によって見事にカラメル部分だけを皿の外に放り出した。


ああああ、なんてことを! 往年の語り部であれば「否ッ! あの茶色く焦げ臭い部分こそがプリンの本体でありアニキの食物ッ! 女子供はその下の甘くてぷるぷるした部分を食え!」とでも評すべきカラメル部分である。おわわわと慌ててサルベージしようとするも、異様にゆるいカラメルの大部分は既に畳の目と同化気味の状態であってしょんぼりした。


泣きながらウェットティッシュで畳を拭き、この世の無常を噛み締めるワタシである。もう二度とこんな悲劇を繰り返してはならない。次に喰う時には、もっと大きな皿を使うことにしよう。それが命を全うせずにこの世を去ったカラメルへの最大の供養である。


ここをお読みの方々へ。今後もしMEGプリンを食すことがあるならば、是非ともその挙動にはお気をつけ頂きたい。この世から悲しい事故を一つでも無くすために。