このセカイってば

●実はワタシ、セカイ系ってどんなんか良く判ってない。大概の新出単語はその使用例に数当たれば判ってくるものなんだけど、これに関しては「なんとなくこんなんか?」程度の認識なのよね。んで調べてみるとエヴァからこっちの「自意識の及ぶ範囲内が世界総体と直結するような内省的オタ作品」のことのようで。いや、正確にどう、とかは別によろし。エヴァっぽいアレね、で多分意志の疎通は出来るだろう。ちょっとジャンル成立の経緯がわからねえので隔靴掻痒感がぬぐえないが、まあこれはこれでいいや。


…それにしても何でカタカナなんだろう?


●急に話を変える。昔、ヤコペッティさんとかが見世物的ヤラセドキュメンタリ映画を撮ってまして、そのキッチュで胡散臭えテイストの作品群は今でもファンが多い、と言うより秘宝あたりが再評価したからファンが付いたのかな。これを称して「モンド映画」と言う。で、上の「セカイ系」とどう関係があるのかっつーと全くない。クールともっさり、先鋭的と土俗的、うじうじとイケイケ、全く正反対だ。


しかし、現実に対する解釈のズレという面においては同根であろう。どっちもある種のフィルタ、歪みといってもいいか、それを通した情報を現実から得て、不思議な大伽藍、砂上の楼閣をこしらえるワケだ。その非現実的な美に、信望者は酔いしれるのである。


大仰な技巧や豪奢な装飾性が特色の一つである「バロック」。意味は「歪んだ真珠」。そういうフリーキーな美しさが世の中にはある。無論、その当事者は異常だとは思わないのであるが。


●…とかそういうことを言いたかったんじゃなくて、モンド映画の「モンド」とは、イタリア語で「世界」って意味である。なのでセカイ系=モンド系ですよって、それ言いたかっただけであってわーい逃げろ!


世界残酷物語」1962伊。所謂モンド映画の祖とされる。原題はMONDO CANE(犬の世界)、「絶望的」「やりきれない」という意味らしい(以前最低映画館に記事があったと思うんだけど、見当たらないなあ)。


●そういえば食品業界のアワードに「モンドセレクション」てェのがありましたな。アレも単に「世界的品評会」てな意味なんだろう。「モンド系食品」というと何やら妙な感じがしますな。「セカイ系お菓子」とか。


ああいう俗悪な映画は百害ありて一利なしとハナから相手にしない態度を称して「モンド無用」、というのを思いついたけどやっぱ言わない。