ハルヒ/獣王星/ARIA

涼宮ハルヒの憂鬱13話。ああ、工夫しつつ苦労してんなあ。原作が文章メディアだけあって、これまで何度も「大量の説明台詞」があったものだが、今回もまた喋り倒しが二度もある。しかし流石に見せ方の工夫で捌ききれていない憾みが…。


踏み切りで延々と続くハルヒの告白も少々不自然だったが、「走る車の中にいると落ち着く性分でね」のパロディみたいな説明シーンもちょいと苦しい。ラッセルや人間原理を引っ張り出してダベってるが、本歌(パト2)に比べると癇に障る論理性や衒学性が圧倒的に足りないので、そのう、シーンとして「間」が持っていない、ように感じた。


ノエインで踏み込んでくるかなと思った人間原理だけど、まあこの作品でも雰囲気には合ってましたかな。しかし「弱い人間原理」はノータッチなのかな…って、あれ以上だらだら説明されても困るっちゃ困るんだが。


デイダラボッチvsサイオニクス戦士みたいな超常バトルを経て、キョンは日常へと戻ってくる。しかし次回はさらに非日常…ってか最終回ですか。さて、どうなりますやら。


獣王星11話。最終回。劇的シーンをただただ数珠繋ぎするに終始してて、もう絶望的に尺が足りない。ティズ・ロキ博士・サードとぼろぼろ人死にが出るが、「死ねば盛り上がるだろ」以上の思惑が見えないものでどうにもこうにも。これは原作云々じゃなくて、「大河ドラマを全11話でやる」って構造自体に問題があったのだろうな。


さて総評…はまあ、上の「詰め込みすぎ」に尽きますね。初回に軌道上のシーン見て「タイドライン・ブルーみたいだなあ」と言ったが、尺足らずという弱点まで似せなくてもよかったに、と思っちゃった。ちゃんと下地やエピソードを語る余裕さえあれば、トンデモなSF考証や段取りすぎな展開とかもなんとかなったのと違うか。そういうキズは名作にもよくあることなんだし。


おっと、でも主役の堂本さんは良かったですなあ。初回こそこっちが慣れてなくて戸惑ったが、あとは「耽美な苦悩美形」というキャラとして全く問題なし。高山みなみの後をシッカリと受けていた。ま、今後吹替えする事もそうそうないだろうけど、また何らかの役で声を聞いてみたいなあと思いましたよ。うん。


…ラストの母親役で高山みなみが出てきたのは、なんかのサーヴィスかしらん。


ARIA・12話。夏真っ盛り。前半は例のおネコ様異界譚、後半はアクア名産の飛行石…もとい夜光石についてあれこれ。丁度ワシの現実世界もあつーくなってきたので、タイムリーって言うかいやなタイムリーだな!


頭の芯もとろけそうな暑さの中、毎度のネコ世界に迷い込むモミ子さん。そして毎度の如くちっとも動じないのがこの子らしい。一連の非現実的シーンは、以前にあったあからさまな描写はないけど面白かったな。後半の「あんたそりゃ夜光石の結晶じゃ! ワシも見るのは初めてじゃ…」へと繋がる話も、夏の夜の夢の儚さが情感をかもし出してて悪くないですな。


でもなー、その「夏の暑さ」を描写する道具が、セミにスイカスク水に風鈴ですよ? 前にも言ったけど、何故そんなに日本偏重? そりゃ判りやすくていいけどさ、折角だからこの町…ネオ「ヴェネツィア」らしい風物を見たいじゃないですか。やっぱり安易、あるいは怠惰に見えるんだよなあ。