シブミ

トレヴェニアン「シブミ」読了。こういうジャンル、なんてんでしょうね? サスペンス? スパイもの? とにかく、門外漢なワタシでもすんげえおもろかった、としか言えないなあ。


複雑な出生ととんでもない経歴の持ち主である伝説の殺し屋さん、ニコライ・ヘル。「シブミ」っつう通り、この人は失われし日本の美点を行動原理にしている。あらゆる物が彼の殺人道具たりえ、精神力は無限に深く、閨房術は神ががり、あまつさえニュータイプである。ま、完璧人間ですな。


この人がマザー・カンパニィという、CIAをも操る巨大組織と戦うワケだ。…こーんな設定を、ものすげえリアリティとともに読ませる技量っちゃァどんなもんなんだ。このジャンルをほとんど読んだことないので、他と比べてどう、ってのはちいとも判らんが…いやー、ちまちま読むつもりが一晩かけて読み通しちゃったもんなあ。


上下巻のうち上巻は、ほとんどヘル氏の過去の経歴で占められてんのね。なぜにしてこの伝説の人物は出来上がったか。丹念に丹念に、その数奇な運命を追ってって、下巻の冒頭でやっと登場の現在のご本人。上手いねー。


トレヴェニアンさん、ね。また古本屋で、色々気にして探してみよう。