謎の故障の謎

●職場の人に「コピー機が調子悪い。ちょっと見といて」と言われる。んじゃまあ、とコピー機を見てみるが、単なる紙詰まりのようだ。ならメンテハッチ開けて詰まった紙を…紙…、はて? 何も無いですよ? おかしいな、ちゃんと紙詰まり表示は出てるんだけどなあ。


ハッチ閉めて再起動かけても、表示はやっぱり「要らん紙が中に残ってんどコラ」と出る。いやどこ見ても無いですって。幻でも見たんじゃないですかコピーさん。コピーさんも疲れることってあるんすねはっはっは。などとからかっても、相手は機械の心をもつ機械なので反応も無し。


いやしかし、原因は何だ? とりあえず業者の人に連絡はしたが、ワケが判らんな。そこにあるべき紙の摩訶不思議に消え去りぬべし。これがホントの紙隠し。どこにいったか紙のみぞ知る。無くなって判る、紙は長ーい友達でした、ヨ! あの「ヨ」が腹立つやないか。…あ、なんか混じった。


●むかしヴォルフガング・パウリという人がいた。パウリの歯痛律…もとい排他律を見つけて「フェルミ粒子はんは同じとこで同じカッコしたらあきまへんで。個性の時代やさけ」と言ったり、殆ど他人と付き合いのできないニート…もといニュートリノという野郎について研究したりしていた。


この人は実にすぐれた理論物理学者であったのだが、実験の手際についてはからっきしであった。実験器具を落として毀すなどは序の口で、最終的には触れるだけで高価な機器からケムを出すという境地にまで到ったという。この現象を称して「パウリ効果」という。


ある日、ゲッチンゲン大学にて物理学実験が行われていた。しかし急に機械の調子がおかしくなる。どこにもキズは無いはずだが…と思っているうちに故障は解消した。賢明なる諸氏はもうお判りであろう。その日その時パウリのおじさんは、たまたまゲッチンゲンを列車で通過中であった。


●メンテの業者さんが来てコピー機を調べ、「はい、紙がありましたよ」と仰って帰っていかれた。…ワシ、少しパウリ属性があるのかしらん。