東島丹三郎/さいひと/シングレ

●東島丹三郎は仮面ライダーになりたい・10話。いろいろ欠点も隙もあるけど直接攻撃力では仲間内で図抜けている東島のパンチ。ここで三葉が「度を越した仮面ライダーへの愛力」と言いましたな…そりゃまあこの作品ならそれが強いわよね。発勁を引き合いに出してんのも作者の経歴からして判りやすい。そしてそんなものを相手にしなきゃならないユリコがどんだけ強いのか、ってのが裏表で見える。つまり流れとしては強大な東島にユリコが心と体を削りながら挑むという構図。このシーケンスだとユリコ側が主役なんである。

30分ひと枠をまるまるド突き合いで消費するという贅沢な話で、それにふさわしい力と精神の応酬。よくある「やったか」→やってないの串団子構造なんだけど、その単純な話作りでここまでエンタテイメントできる制作側の力と技が素晴らしい。正攻法では東島/ライダーにゃ勝てんだろ…って雰囲気を正攻法でねじ伏せるタックルの描写に腕組んで感心しました。一応東島のお面が外れたからかも? っていうマギレの余地残してんのもクレバーよね。

ユリコのアイデンティティの基盤であるタックル退場回への思いを山に向かって叫ぶシーンは、茅野愛衣の試され具合がよく出てました。流石超一流キワモノ声優、もとい正統派からキワモノまで行ける声優。絶叫の彼方にストロンガーの姿が浮かぶとこ、ユカリスでさえライダーが見えたというアバンのシコミがあってのいい平仄だなあ。

●最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか・10話。このパリスタン王国は四方を強大な四国家に囲まれ、今までは各国のパワーバランスによってかろうじて均衡を保っていた…ってのはいやな立地すぎるな。二国間の要衝でエライ目に遭う小国家とかはままあるけれど、四方とりかこまれとはね。ここでパルミア教は措いといて、四国家のうち二つが攻め立ててきて、一つはこちらと同盟を持ちかけてくる。この恩を売りたいヴァンキッシュはまあ、こないだ顔見世したこともあってなんとかやってけそうな雰囲気もするけれど…残った一国は何でしょうね。今期のうちになんかあるかどうか。

竜騎士団の頭領アルフレイム殿下との共闘。細谷声で戦闘バカという判りやすいキャラで、多分この人は最後までこんな感じだろうな。とりあえず敵の魔物軍団との戦いで、中ボスとしてオークロードが出てきて古のハート様的な役割で過不足なく退場する。オークロードが杉田智和、下世話で下種なデブキャラ演技が楽しそう。もったいないキャスティングなようなベストなような…まあベストかなあ。

ナナカさんが化けたジュリアス殿下がなでてもらいたがったりケモミミ生やしたりするのは一種の外伝的サービスと言えましょうか。本人は間違ってもそんな感じにはならんだろうしねえ。

●シンデレラグレイ・8話。泣いても笑ってものタマモ最終レース、有馬記念。各選手登場及び周囲の反応を時間と演出技量をたっぷり使って語り、盛り上げにかかってんのは割とワクワクする。一応メインキャラはオグリ・タマモ・ディクタ・クリークの4人であり事前の背景描写もそんな感じだが、因縁のあるロードロイヤルは外せんよね。どうしても先行逃げ切り馬のキャラは直情的バカになりがちだけど、対策してたり考えてたり精一杯キャラ立たせてんのが感じられて泣ける。…逃げ切り一本じゃ主役としてドラマ作りにくいってのは言わないお約束で。

レース展開を検索するとかなり細かいとこまで実レースのネタ拾ってて、それがガッチリドラマになるのが彼らのヒーロー性なんだろうな。ティクタがラチに頭ぶつけて流血したまま走ってるとか、実においしい要素だよねえ。タマモの食が進まず万全じゃなかったってのはなんかで読んで知ってたけど、タマモとオグリの両調教師がレース前のしばらくで仲良く遊んでたのは知らんかった。劇中でタマモオグリに結構会話があったりするのもその辺の反映だろうか。ともあれ、レースの決着はまだ先であり次回待ちで。