ジョジョ/オルフェンズ

ジョジョの奇妙な冒険・最終話。もうどうしようもないほど追いつめられた川尻吉良さんであるが、彼の能力はその追い詰められた結果発動したものである。ここでも土壇場で一般女性を時間爆弾化に成功、全てをチャラにして巻戻しに成功する…と思われたのだが、というね。

吉良のフェイク大成功シーンは上記の通り、ホンマどうしようもないシチュからまんまと脱出したという吉良さん視点での描写もあって「負のカタルシス」に満ち満ちててエエシーンだなあ。つい吉良さんに感情移入しちまいますよ。悪夢から覚めて「ああこの朝が現実でよかった」となるあの感覚。その上で幽霊小路のトラップで今度こそ不可逆な悪夢に引きずり込まれる…うん、なかなか良い悪役としてのラストじゃなかったっすかねえ。この期に及んで鈴美さん相手にジメッとした言葉攻め仕掛けてたりして、そういうところをおろそかにしないお人ではあるなあ。

●総評。ジョジョも第4部、現代日本を舞台にしてのスタンドバトルであり、人によってはこの4部が一番ジョジョっぽいとも言われたりする。荒木先生の浮世離れした味わいと対照的な舞台設定がエエ感じ、ってとこでしょうか。3部と比べても長大な部なのでいささか詰め込んだとこもあったけれど、終わってみれば「ようまとめたなー」と感心することで。構成に相当苦慮したこっちゃろな、と思います。

吉良という幹はあるものの連作掌編っぽい構造でもあるので、毎度バラエティに富んだ雰囲気が味わえるってのが大きな魅力ですな。しょうがないとは言えこの辺からスタンド能力も「設定を考えるのに苦労したっぽいな」ってなのが増えてくるけど、まあその辺もジョジョの味わいの一つと言えんこともないしね。

あと最終話のエピローグ、ちょこちょこオリジナル要素とか入れてきてサーヴィス精神旺盛でよろしかった。露伴ちゃんの準備運動もどきとか、外伝のネタも入れてきたりしてね。…その露伴ちゃんの万引きネタってなんだったんだろ。あとで検索してもよく判んなかった。まいいや。

てことで、この部もちゃんと面白かったです。スタッフもいろいろ大変だとは思うけれど、期待の大きいコンテンツだしねえ。…俺は5部までしか追っかけてないので、どこまでお付き合いできるかは判りませんが、今んとこはまだまだついてくつもりではあります。そりゃ5部もやるよね。うん。

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ・38話。いきなし一ヵ月後に話が飛んであの大騒動の顛末を回想する、という構成。石塚運昇おやっさんがちょいとコワ目に対応する、そのくらい鉄華団は大きくてかつ面倒な功績を上げたことになる。その代償は相当数の機器損耗とミカの右半身全部。そしてジャスレイオジキがイオク様と通じてさらにいらんことしそうな火種もおまけで付けちゃう、とまあそんな勢いである。

オルガさんの「速くアガって楽になりたい」という無意識の焦りは主にミカによるものだ。目も手も足もバルバトスに取られてどんどんと欠損してゆくミカだが、本人はオルガに対し「お前ここで立ち止まったら承知せえへんど」と純粋極まりない圧力をかけてくるのだ。世に「破滅に向かって突き進まざるを得ない関係性」ってモチーフは多々あるが、この二人の非対称でおもっ苦しいソレはまた格別のデキではある。岡田脚本はこういう情念の凝り固まったようなネタ、上手いよね。

あとアトラちゃんはクーデリアお嬢様に「ミカと子作りしてつかあさい…」と凄いこと言い出した。何だろうね、体の動かないミカのケツ持って動かしそうな勢いだったよ。この子はこの子でいろいろとヘンですよな。面白いけどさ。