舟を編む/ドリフターズ/ジョジョ/オルフェンズ

舟を編む・5話。冒頭、かぐやさんにお渡しする「恋文」の添削を西岡さんに依頼するマジメさん。…西岡さんの言うとおり、今の世間一般からすりゃ果たし状やよねえこれ。いや果たし状ってのももう前時代的ではあるけれど。こいつしょっがねーなーと笑ってたら、しかし大渡海を巡る情勢は俄かにのっぴきならんことになってきてて…っちうね。

既成事実を作ってなしくずしに業務を成立させよう、という西岡さんの思惑自体もなんだか危ういが、まずは彼に振って湧いた異動辞令がネックである。そらまあ上記のようなことしてりゃ上層部の不興を買ってたのは間違いないところではあるよな。いかにもサラリーマン的なニコニコ顔の一瞬後にドス効かせて脅しにかかる局長がなかなか怖い。…西村知道だもんなあ。そりゃ怖いよな。あと後半の大学教授が飛田展男だったりして、これとことん「芝居のヴェテラン」で固めたキャスティングでんな。

部員に詳細を言えないまま、どうしたものかと思案しつつ冒頭の恋文を読んでたらなんとなく、西岡さんの中でこれからの方向性が固まり出す。異動なら異動でよろし、それまでに自分のできることをすべてやるまでだ…。1話にも出てきてたビルの谷間の公園で、恋文を読み進めて彼の意思がおぼろげに固まり出すことに呼応するように、日陰であった梢にちょろりと日の光が差す。この辺のベタな演出が実にキレイだった。この作品アニメとして繊細な描写が多いけど、それだけに留まらない面白さがあります。

ドリフターズ・6話。エルフ女子を総攫いしてあんなことこんなことしてたオルテの野郎どもに怒り心頭の豊久さんである。なで斬り根斬りと目の据わってる彼を、一発ド突いて成り代わるのが信長さん。そういうヨゴレ役は俺がやる、お前は王として清廉であれ…ってワケで、そういえばなかなか聞こえはいいがその辺ひっくるめて彼の計略ではあるよな。まあ信長さん、ヨゴレ仕事やんのが好きという側面もあろうかとは思います。

んでその他に異世界人がいくらか。山口多聞は顔見世程度の登場だが、割とガッツリ出てきて話の根幹に関わってくるのがサン・ジェルミ伯…まあサンジェルマン伯爵ですな。ケバケバしくてヘンテコな男?だが、世の状況を把握することに長けているようで「あ、オルテダメだ」と判断したら瞬時に行動してケツまくる辺りは実に喰えない。コメディとシリアスをゆらゆらと渡り歩いている感じが杉田声によく合っている。あとはヒトラーですけども…さて、オルテ建国後謎の自殺ってのがどうもアヤシイよね。本当に自殺なのか何故自殺なのか。ひょっとしてどっかで生きて…まあ、いろいろあるんでしょうがね。

さて、信長はぶんどった銃を量産するにドワーフを恃むようだ。この世界でもエルフとドワーフはあんまナカヨくないようで、ドワーフのことを伝えてるエルフの兄ちゃんが微妙にヤな顔してたのが印象的。「鍛冶仕事だけは得意」って評価だよね、そりゃ彼らにとってはね。…そういやホビットとか名前出してたけど、ええんかなそれ。権利的に。まいいや。

ジョジョの奇妙な冒険・33話。主にエニグマVS仗助の話、それにチープトリックがちょろちょろ挿入されてる感じ。エニグマとの戦いはジョジョらしい、周到な(どんどん後付されるとも言う)悪意をいかにしてかいくぐるかという頭脳戦になってて面白い。またアタマだけじゃなく、滅私して友人を救おうとした仗助の精神に噴上がすっかり感化されてその後の展開に影響を与えるという、少年マンガらしい要素もある。実際ここの噴上さん、かっちょいいよね。「俺は喜んで敗北する」…敗北して紙になることこそが勝利の鍵という、捻った展開が楽しいことだ。

一方の露伴先生、とうとう乙さんの背中を覗いてチープ・トリックに憑かれてしまう。コイツを使って露伴先生をヤッツケようとするってのは相当に回りくどい選択肢だとは思うが、まあそれ言うのはヤボってもんだろう。妙に限定されたデスゲームを設定し、それをどうやってかいくぐるか…うん、上でも書いたけどジョジョらしい展開のためのお膳立てキャラである。そしてこのひねくれた敵は、ひねくれた露伴先生にこそ相応しいって気がいたしますしね。

…原作そこまで覚えてないんだけど、建築士の乙さんってこのあとどうしたんだっけ。流石に死体がおうちに転がってるとなれば相当にめんどくさいこっちゃとは思うけど…まあ、スピードワゴン財団がなんとでもするか。登場人物の中でもかなりかわいそうなお人だとは思います。乙さん、本人にわるいとこほぼ無いもんねえ。

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ・32話。マクギリスは状況の打開を図るため戦場に出張ってくるが、その相手は鉄華団、タカキとアストンである。ガランからすればお互いつぶしあえってところであり、マッキーの「はなす」コマンドも空振った上は九分九厘鉄華団の敗北ってところだろうが…いやあ、満を持してのミカ/バルバトス登場はなんかこう、ヒーローモノの一シーンのようなハマリっぷりがありましたよ。

それでもしかし、アストンを救うには一歩足りない。メタかつモテ王的な言い方をすれば「お前の死を通じて成長」しちゃうことになったタカキさん、ということになる。実際ラディーチェさん相手にキッチリと(ヤクザとして)ケジメを付けられましたしね。…大人の戦いに翻弄され続けた彼が、ここで一歩その大人側に進んだということになろうか。それはガランさんをツブして敵を討ったアキヒロにも言えること、ではあろう。

ガラン・モッサさんはここで退場。今までこれほど鉄華団に損害を与えたキャラは居なかったという意味でもそうだが、実に良い悪役であったなと思う。悪人と言うより悪役。役ってのは立ち位置の違いによってガラリとその意味を変えるものだが、百戦錬磨っぽい存在感と喰えないしぶとさ、職業傭兵としての矜持は確かに、これ味方なら頼りにもするわなと思えることだ。最後の最後でサブタイの「友よ」を、このおっさんにもかぶせてくる辺りはいろいろ上手い。こいつのキャラ造形、こういう風に成立するまでいろいろあったんやろなあ。そのくらい絶妙な匙加減であったと思いました。