アンストッパブル

●録画してた映画「アンストッパブル」鑑了。実話をもとにしたという触れ込みの列車暴走サスペンス映画で、最近たまたまウィキペディアで「事故の一覧」とか読みふけってたとこにこりゃタイミングよろしいなと思い録画してたもの。画面の色彩設計はリアル寄り、操車場辺りの湿った寒々しい雰囲気とかなかなか渋かったりすんだけど、画面作りそのものが何かチャカチャカしててそこは気になったりする。何でもないシーンで急にグイッとクローズアップになったり、カメラを三次元的にぐりぐり動かしたり、この手の「実録モノ」気味な映画にしては妙に凝った演出が基本になってんのね。トニー・スコットってそんな感じの絵作りする人だっけ。よく覚えてないや。

でもまあ、事案発生で列車がエライことになって以降はこのガチャついたカット割りも効果的だったかなとは思う。そこここに挿入されるニュース映像(風)シーンが生々しくて効果的。あの記号的なCG説明図とか、あーニュースでよう出てくるよなーアレ、って感じで臨場感ある。いや実際、映画中盤以降は演出とかどうとか気にならずハラハラして見てましたしね。…「暴走列車を止めるのだ!」ってな、すげえ判りやすいスジなのもこういう場合は美点であるな。

主役二人の「ガンコなおっさんとはねっかえりの若者」というバディムービーの王道コンビを初め、労働者さんたちが一丸となって事態に当たるというプロ話は見てても楽しい。その中で悪役っぽい感じなのは事故の原因をやらかしたダメ運転手/機関士と、事件は会議室で起こってるんだ式のダメ上司、あわせて三人。この辺、一応フィクションとは言えもとになった事件がある作品でここまでゲスっちく描写してエエんかな、と他人事ながら気になったりした。またこいつらみんな存在感と演技がエエのよ。やってる役者は楽しかったと思います。

吹き替えに関してはソツなくキズなく。デンゼル・ワシントン大塚明夫は大物の風格満点で言うことねーやな。運行管理者役ねーちゃんの本田貴子がかなり儲け役で、絶望状況とダメ上司の板ばさみに苛まれつつも力いっぱいバトルするという…うん、裏ヒーローやなあ。本田ねーさん、こういうキャリアウーマンとして脂乗り切ってますねえ。