レジ前フーダニット

●量販店で麦飯用の押し麦と代用ビールを買う。レジで待っているとほどなく、何やら結構エゲツない香りが漂ってくる…。誰かスカしやがったなこの野郎。周囲に居るのは無造作に髪を束ねた少々ツン気味なレジのお姉ちゃんと、これから釣りに行くんですよってな格好の初老のおっさんだけ。謂れの無い偏見からするとおっさんが犯人であるが、いや待て確たる証拠もなしにそんな見込み捜査をしてはいけない、コッチのお嬢さんがこそ盛大に屁ェこいたかもしれないではないか。うーんとなると実にこれはその、もうちょっと食生活に気をつけないとあきへんえお嬢さん。

当然と言えば当然だがこの場に居るもの誰一人として「何やねん臭っさいのォ死んでまうわボゲ」などと騒ぎもせず、淡々粛々と業務にいそしんでいるのが妙に面白い。何ということもない無表情も、この臭いの中だといろんな思惑が…お前が屁ェこいたんと違うんかとか、うはあやってもた早ぅどっかいってくれんかなみんなとか、そんな風な感情を裡に秘めているように感じられるのも面白い。ああ面白い。でも臭い。

…実は犯人はワシでしたーというオチもあるだろうが、そうなるとワシ結構な脳みその異常加減っぽい感じなのでそれはナシってことで。でも多分、ワシもどっちかには犯人として疑われてたんだろうなあ。エエけどさ。