弱虫ペダル/ガリレイ/サムライ

弱虫ペダル・6話。新歓という名の弱者選別レース、スタートである。お互いにライバル意識を燃やし他者の及ぶところではない今泉と鳴子のA級ペア、なんとか付いて行きたいその他の有象無象。しかし小野田さんは彼らと同じスタートラインにすら立っていない。鳴子さん言うところの「おもちゃのバットで野球をしている」状態であり、小野田さんがいかに頑張ろうとそれは蟷螂の斧。アームジョー…ってとこでやっと到着のクロモリ! さあここからレーススタートだ! ってとこで続く。

ノリとしてはよくある序盤のパワーアップ話なんだけど、小野田さんの場合において特徴的なのはこれが「パワーアップ」というよりはむしろ「ハンデが取れた」というか「拘束具がパージされた」というか、元々力量があったのにゴッツい制限されていたものが(一部)解除になったといった方が実情に合っているところやなあ。外見と性格に惑わされがちだが、この子は要するに自転車の申し子と言うべき存在なのである。その辺は鳴子さん辺りは割と感づいていて、小野田クンがロードレーサに乗れれば自分たちに追いついてくるとまで言うてんのよね。慣れも経験も鳴子/今泉組とは天地ほど違う小野田さんだけど、ロードをイッパツで乗りこなせるところといい、ひょっとして適性としては彼ら二人をしのぐほどのものがあるのかもしれない。

ラスト、クロモリを得て気を引き締める小野田さん。二度ほどある真正面からの顔のドアップは、お話をシメるに相応しい気合が入った一枚絵になってて流れにおける良いヘソになってましたな。ま、この先も素直にはいかぬレースだろうが、とりあえずは同じ土俵に立てたっちうことで。

ガリレイドンナ・5話。次のスケッチを求めてご一統はオランダに到着、その地のレジスタンスに何を見る、っちうね。しばらくはこんな感じで1話完結、ヨーロッパ各所への紀行モノっぽい感じで進むんでしょうかな。…相変わらずどっか古臭い作劇でして、この紀行フォーマットもそうなんだけど、探してた教会は駅に改造されてて誰も気付かない地下聖堂がありました、という「いやそれ駅に改築したときに誰も調べなかったの?」みたいなギミックが相当に古い。なんかこう…ね。うん。

んでまあ今回のゲストはレジスタンスんとこの技術系少年。ホヅキさんとテッキー趣味で話が合ったり、体の弱い幼馴染とのちょいとヤキモキするお話とかあったり、というほのぼのした話の流れに混じるどこかヤな予感のフラグっぽいもの。案の定というかそこまでやるんだというか、この若いお二人にはレジスタンスのリーダーに裏切られて爆撃の炎と消えてしまう、という結構容赦ない結末が待っている。少々ユル目の道具立てに割とエゲツないストーリーという雰囲気に、昔のタツノコ系冒険アニメとか、そんなんを思い出したりした。

ともあれ、これで本作は「何かあったら人は死ぬ」というレベルのお話なんですよ、ってのが提示されたってことではある。最終的にはある程度の勧善懲悪っぽい王道話に収束するのではあろうけれど、その過程にはどんなんがあるか判りまへんえ、ってこってすな。…今回の少年たちの結末はあまり予期してなかったせいか結構「おお、マジで死んじゃうんだ!」というキャッチーさがあったけど、さてこれから敵さんは…制作側はどういうところまでネタを持ち上げてくるか。見守りまひょか。

サムライフラメンコ・5話。念願叶って特撮番組のレギュラーになれたハザマさんであるが、その変化はサムメン状況にいささかの変化を及ぼしている。つまり本業が忙しくなっちゃったハザマさんは自警団ヒーロー稼業にあまり時間を割けなくなり、それが押しかけ相方のマイさんの独走…というより暴走を招きつつある状況。さあどうするどうなる、というね。

フラメンコお二人の正義の解釈には割と差異があり、方向性の違いから袂を分かつことになるのであるが、さてそれが更なる状況の/マイさんの暴走を招くか否か。…Cパートで三倍に増えちゃったフラメンコガール見るだに、あー、うん、やっぱ暴走しちゃうのねって感じではありますがなあ。つーか青い人は天然っぽいのでともかくとして、赤いカンサイの人はちゃんと止めてやれ止めてやれ。不本意な状況に流されちゃってどうするの、知らないよんもう。

ハザマさんはハザマさんでじいちゃんのワケ判んない遺産にヒーロー意識を新たにしているようである。つーかこの亡き爺さん、こいつが諸悪の…諸善かもしれんがまあ、根源なんじゃなかろうか。テメエの孫にヒーローコスチュームと企画書を遺すってのは大概アレなお人であるのは間違いなかろう。まあでも菅生隆之のシブい声で言われちゃしょうがないってとこもある…いや無いよ、無い。

特撮現場で舞い上がっちゃって、脚本に口出したりスタントやりたがったりしてるハザマさんがなんかこう、痛くて青くてでもなんかその気分も判るようで、おもしれェなあ。要するにこの人はとことん意識がアマチュアなんだよね。子供と言ってもいい。無論その対極であるプロのオトナという存在が常にエエモンであるとも思わないが、さてどうなのかねえ。このまま偉大なるアマチュアイズムを貫き通すってのも、それはそれでつらい道だとは思うけれども。