ガルガンティア/ちはやふる

翠星のガルガンティア・12話。中佐んとこの宗教船団国家に編入したもののどうにもついてけないレドさんである。ピニオンはピニオンでお宝の山に大喜びだが、それでもこのコミュニティの「イカれてる」具合にはどんどんと辟易しつつある。元から恭順の意志などなんもなさげなラケージ姐さんの扇動もあり、ほないっちょやったるかってことで叛乱勃発の運びとなる。案の定というか、中佐は結局死亡しておりストライカーによる乗っ取り事案であったのだが…さて。

ガルガンティアでの生活で緩和されたとはいうものの、規則と価値観でかなり縛られていたレドさんが決心するに至ったのがあの死亡儀式、っちうこっちゃね。何らかの生贄なのか犯罪者の粛清なのか、ただ無為に海中投棄されてゆく「人」を見て彼は決心する、と。自分は人を救うためにここに来たはずであるのに、と。レドさん言うところの「自分で初めて選択したこと」、中佐に対する叛乱行為の識別タグとして「お前はストライカーと戦えるか?」というチェインバーへの質問を据えているのね。この言葉からレドさんは実際の行動に移る。ピニオンさんにおいての同じシーンは、雨中で透過ゴーグルを取り外した時に髪が折り、額の紋章が雨に流れた辺り。構成上のこういうヘソの部分は、上手いこと設定すると話がまとまるねえ。

後半のバトルシーンはこの作品としては久々、というかロボ同士の空中戦ってのは初めてかしら。当然メカはCGなんだけど、ビームの軌跡などの金田っぽい効果作画はあれ手描きやよね? この作品でこういうエフェクト見るのは何か新鮮なものがある。あとラスト、チェインバーの拘束を逃れて空に去るストライカーが、その空虚な「顔」でこっちに振り返るシーンもとてもよろしかった。ああこれはヤバいぞ、ってな絵ですわな、あれ。

ちはやふる2・23話。A級・アラタとクィーン、B級・太一とリオンの二つの決勝試合。双方ともに大きな関係性を持つ千早さんはどっち見るの? っちう話。結局千早さんは太一の試合を見にゆくのだが、ここまで極端な自然体で勝ち上ってきた太一さんはまさにその応援によってガッタガタに崩れてゆく、という…ううん、因果なものよなあ。

太一っちゃんの内部で「千早のために勝ちたい」という気負いが「千早本人に勝ちたい」に変わったとき、やっと彼本来の強さを取り戻せることとなる。上でやってるA級二人に関連付けるならば「団体戦から個人戦のモードへとシフトした」とも言えるだろうか。…いや、この場合は太一さんが自分自身を千早と対等の存在として置くことができる、ちゃんと相対できるようになったと言う方がよさそう。いずれにしても彼の強さはロジックであり、天性の素質ではない。「才能と闘う覚悟がある」という言葉の通り、それは多分キッツイルートやと
思いますけども…だからこそドラマの描き甲斐がある(あるいはどんどん苦難を盛り込む甲斐がある)っちうことやね。これからも太一さんにあっては激しく浮き沈みしていただきたい所存である。

やっと勝利できた太一さんに対し、ぽろぽろと涙を落とす千早さんのシーン。次回以降はA級戦という流れであり、このB級決勝試合はその「前座」とも言えるだろうけど、それでもこのシーン一つでかなり救われたところはあるだろうなあ太一っちゃん(おまけにエンディングも特別に2番である)。溜めて溜めての報われた勝利であり良かったね、と祝福の言葉を送りつつ、ワシも次回のアラタ/クィーン戦がもう楽しみでしてね。アラタの余裕とクィーンの自信、今んとこアラタさんの方に分があるけれども、まァこの作品のことだしどう転がってゆくか判らん。さあさあどうなるよ。