夢の話は誰も聞かない

●夢を見る。家に帰ってきて玄関でふと横手を見ると、埃が積もり雑然とした廊下が奥に伸びている。そういえばこっちの廊下は通ったことなかったっけ、今日はこちらから部屋に行こう、と進入するもあっという間に迷う。まるで屋根や壁が無いかのようにやたらと明るいので恐怖感は少ないが、それでもマネキンの頭が置いてあったりしてうすら気味悪い。あのマネキンなんて目ん玉が動いてる。こっちのは表情が変わる…あ、これは人間だ。何故かそこで寝ていたお婆さんが笑いかけてくる。丁度いいやと道を尋ねてみる。「すみません出口はどっちでしょうかね」「私の知ってる限りではあっちですよ」そっちは自分の来た方向の反対だが、裏口でもあるのだろうか。段ボール箱だの箪笥だの、天井近くまでモノが積み上がった場所もあったりする廊下を、時にはふわふわと飛びつつ抜けてゆくと、旅館か病院のロビーのような出入り口に到着する。広くてやはり雑然とした空間には十数人の人間が座ったり話したりしているのだが、そのファッションや髪形がどうも古臭いように思える。壁のカレンダーを見ると昭和六十何年とあるので「やはりここは過去の時代か」と考えるのだが、置いてある雑誌を見ると四十何年とか書いてあってどうもハッキリしない。カウンターの中のおばちゃんに「今何年ですかね」と訊いてみると、何だ知らないのかといった風に「定まらないんですよ」と返される。とりあえずロビーから外へ出る。振り返って見ると、古い風呂屋のような立派な屋根の建造物である。さて自分のウチに帰るには、外の道でこの風呂屋だか旅館だかを回り込まなきゃな、と歩き出す。舗装されていない道、古い型式の軽トラとやはり風景が古臭い。まあ歩いているうちに帰れるだろう、と思っているうちに目が覚めた。

このシーケンス、何故か自分はエド・ハリスであり、加えてフラットで技量の高いアニメ作画の姿であった。あとこの前の夢もあって、それはほとんど覚えてないんだけど、「玄関マットの下や植木鉢の下や郵便受けの蓋のウラに「鍵はここには無いよ」と書いてある」というネタだけ覚えている。なんかちょっとバカバカしくていいな、これ。