ジョジョ/宇宙兄弟

ジョジョの奇妙な冒険・16話。リサリサ先生と出会ってヘルクライムピラーを登るまでのお話。EDを削ってまでストーリィを詰め込んで、何とか1話にまとめた強引さはこれ、むしろ評価対象になるだろうな。やっぱしあまり修行シーンに尺は割きたくないもんな! ハデでスカッとしたバトルをドンとやりたいもんな! 判る判る!

それにしても、アニメでやられるとリサリサ初登場シーンって結構無茶やよね。水を支柱にしてオールで大回転っての、実際に動きで見せられるとスゲエってよりおもろい。「波紋の描写にしてももうちょっとあるやろ!」というツッコミはまあ、無粋でしょうかしら。あとこの辺、ジョジョもシーザーもすっかりお互いを尊敬するようになってたのね。シーザーはその良性から、ジョジョはそのガキっぽいノリから。双方とも素直なところはあるんですわな。一部にはね。

リサリサの田中敦子はちょいとタイプキャスティングにハマり過ぎのきらいもあるくらい、違和感も何もない。ここぞってとこでドスの効いた叫びがイケるのはとてもよろしい。師範代二人に仲野裕中村秀利という、これはシヴいとこ持ってきたなあ。ますます洋画劇場の雰囲気である。そういや敦っちゃんと仲野のおっさんで公安9課古参メンバーやよね。敵にバトーさん、ナレにサイトーさんもも居るしね。

宇宙兄弟・42話。ヒビトは生還の可能性を追い求める。セオリーを破ってロスト地点から移動し、現在位置を示す信号弾を消費して暖を取る。この辺の先が永らえていくもジリ貧一直線、という選択肢の積み重ねは相当に精神的に堪えるだろうなあ。最後の最後、もう本当に選択肢が無いってとこで「ちょっと一人で散歩してくる」と言って月の曠野を去って行く、あのシーンはなかなかにドラマチック。何というか、実際にそんな事件が発生した場合にも手記として出てきそうな、妙なリアルさがある。

その辺のリアルさは今回の描写のみに負うものではなく、それまでのお話によって視聴者の中に構築された「物語の限界強度」みたいな枠組も大いに寄与するものであろう。こういう状況ならこう動く、こう言われたらこう返す。登場人物たちの雰囲気や行動がちゃんと血肉となっているのだ。それは地上にいるムッタさんも同様。「俺は祈らねェぞ、どーせ今回も帰ってくる、知ってんだぜチキショー」というなんでもない強がり台詞の実在感たるや。

さて、でも確か他にも酸素供給ドローンの「ブライアン」があるはずだよな、そこら辺がキモだろうか、とか思ってたら月面に「ブライアン」の名の人形がありましたけど。ブライアン違い! あの人形の中に酸素があるとは思えないが…何だろ。ヒビト最期の瞬間をドラマチックにするための仕掛け、とかじゃなきゃいいけどなあ。