ジャイキリ/あそびにいくよ/けいおん/みつどもえ

●新番組・GIANT KILLING。新番組とは言い条、BSでやってたのが地上波に降りてきた…ってことのようで。原作はモーニング読むときには読みますよ、って感じ。最近定期的にマンガ雑誌読めない状況なのでねえ…。てことで、どんな話かは知ってますが、お話の流れとかは案外知らなかったりするので、ほぼ新たな気持ちで見ることになります。


本編。低迷中のヘッポコサッカーチーム・ETUに起死回生の策として招聘された新たな監督は、以前そこを最悪の形で出奔した(と思われている)タツミさんである。彼はそのとらえどころの無い、いささか性格の悪い、何考えてんだか判んない行動と言動によって早速周囲をひっかき回す。さて、このアンちゃんによってホンマにチームは「大物食い」となるのだろうか…という第1話。サッカーマンガ(アニメ)にして、選手じゃなくて監督をメインに据えたマネジメント系の作品、ってのがなんかモーニングらしいな。


基本的にはサッカーの試合を巡る駆け引きや戦略や、そういうのを楽しむアニメでしょうな。多分。てことはおお振りと同じく、感想らしい感想は書きにくいかもしれんが…まあ、楽しけりゃいいや。てことでちょっと見てみよう。あーそういや、試合シーンの遠景選手はほぼCGっぽいみたいっすね。これも技術の進歩だけど、わらわら動き回ってるとちょっとだけ違和感はあるか。なんかゲーム(試合って意味じゃなく、コンピュータのね)の画面みたい。


あそびにいくヨ!・最終話。キャーティアシップを救うため、宇宙へと登るご一統である。傾斜式のロケット打ち上げとか見て「おーロマンやねー」とか思ってたら、何故か皆さんの戦闘宇宙服がテッカマンだった。ちょっとブレードとか入ってるか? あとその、ぺガスだかドダイだか判んないのりもののデザインは…何だろう、どっかで見たような気がするが思い出せない。Gアーマーでもないしコアブースターでもないし…どのみち何だか大河原っぽいラインのメカじゃよなあ。


とまあ、本編以外のお遊びの方が割と気になってしまった。おかげでクライマックスの衛星押し出しとかも「逆シャアのパロか?」とか余計な勘繰りをしたりして。あと、地球に軌道エレベータのプレゼント! ついでにクリスマスツリー形だよ! っちうネタはシメとして良いのだけれど、沖縄あたりに軌道エレベータって設置できたっけ? 結構赤道から離れてるような。おまけにあの緯度にして地面に対してほぼ垂直におっ立ってるようだしさあ。…などとヤボ極まりないことを言い出すのがSFモノなので、さっさと排除するように。すんませんねえ。


あーっと、本編はまあ、無難にシメたのじゃないでしょうか。打ち上げ前の痴話喧嘩は(それがこの作品の本質の一つだとは言え)ちょっとじれったく思いましたが。「伝えるなら今よ!」って、そうかあ? 今が一番不適切な状況と違うか? あとあの「三人愛人計画」の話を聞いた後で「何の話?」っちう反応なキオさんはホンマニブチン過ぎる。ちうか、もうこの人は主役とかじゃなく、そういうギミックを持った役割キャラなんだろうな。視聴者が感情移入できるキャラは、あくまであのお嬢さんたちの方ですわねえ。


●総評。おとなしいメガネ少年のところに転がり込んできたねこみみしっぽ宇宙人と、その他もろもろのごたごたのお話。ジャンルとしては典型的な落ちモノであり、またその「典型的具合」もエエ具合に高くて視聴に支障はあまりない。お話の特色として挙げられるのは、細部ディテイルの妙に年季の入ったマニアックさですかね。映画好きというキャラ設定はまあよくあるだろうが、中古ソフト屋の店頭でMr.Booブルークリスマスで購入に迷うメインヒロイン、ってのはあんまないかも知れん。そこここに見られる回顧的SF趣味もね。


んでもってアニメ制作の雰囲気には、90年代のOVAっぽいちょっとした古臭さ・野暮ったさがある。演出はもっちゃりしてるしデザインもおかったるいし、まあ大体においてはあまりよい要素とは言いづらいでしょうな。けど、上記の少々おっさんくさいディテイルセンスを見るだに、この語り口の野暮ったさと調和してるといえんこともないなと思ったりする。当然それはワシの個人的経験に基づくノスタルジィであって客観的評価とは程遠いが、多分ちょっとくらいは意図的なものじゃないかな、という印象もあるわな。


…そうねえ、昔のAICっぽい感じだねえ、とか思いつつスタッフ表記等見てたらAIC+、ってとこが関わってた。なんだそのまんまだったか…って、この「プラス」さんがどこまでAICなのか(ヘンな表現)、ってのは判らんですけどね。


エリス/アオイ/マナミの三人ヒロイン体制で、多分メインヒロインはアオイさんじゃないかなと思うんだが、ワタシはエリスさんがなんか良くてね。今まで書いてきた古臭さネタでもあるんだけど、このコの典型ずっぽしでイヤミもヒネリもないキャラ設定はちょっと郷愁さえ感じさせるのですよ。天真爛漫で天然えろで万能文化猫娘。エエやんね、いまどきこの設定。


てことで…んー、先鋭的とか大話題作とかいうのとは程遠い、どっちかっつーと欠点も多い作品だったと思うけど…まあ、いいや。ワシ結構楽しかったし。


けいおん!!・25話。番外編、新入生勧誘映像作成の巻…ってあともう一回番外編あんの!? まその、ユルーい〆っぷりはこの作品らしいし、エエか。本編もこの作品らしい割とどうでもいい話であり、同時にそれこそが描くべき要素となっているという、ね。前年度の勧誘ビデオ(つってもDVDですが)はミオさんの恥ずかしい要素によって封印され、今年度のはあずにゃんのソレでアレしちゃう、という「似たもの先輩後輩」の連鎖が楽しい。いいやんね、「にゃん」くらい取っといてもね。二三十年ほどして再見したらタマランだろうけどね。まあ。


部員さんたちで益体も無いブレーンストーミングをしてるシーケンスが楽しい。各々のキャラがよう出てるのもそうだが、こういう映像的悪乗りは何となく銀魂のそれを思い起こさせるな。無論銀さんとこのは256倍酷いんですがね。にしてもムギさんはどんだけ二時間ドラマが好きなのか。火サスファン?


結局周囲のインタビューと日常映像の集積で部の様相を描き出す、という方向で決定する。やっぱね、モノが日常系でありそこがウリである本作としてはね、これが一番正しいやね。「いつも練習してるようには見えないのに、演奏はすごかった」と視聴者を代弁する台詞を盛り込んでるのは、メタギャグというよりはある種の方針表明だろうな。そういうとこに特化したお話ですよ、っちうね。実際見事に演奏も練習もしてないビデオだもんなあ…ダベって茶ァして茶ァしてダベって。でも茶の部分はムギさん卒業したら無くなっちゃいますよ? 


あー、総評は次週の番外編後ってことで。…ホンマに次が最終なんやよね? ね?


みつどもえ・最終話。風邪引きのふたひと・ねこねこふたば・悪夢の家庭訪問・みっちゃん涙の遊園地、の4本+αな構成。予告どおり特に特別なことも無い、ごく普通(だか何だか)のみつどもえギャグで安心する。それでもラストはちょっとだけ特別編EDで、かわいそうなみっちゃんに救いの手を差し伸べているカタチでシメ。うん、よい最終回だったのではないかな。


特にまあ、4話目の遊園地話は、みっちゃんの本質的なヘタレさと優しさと貧乏くじ引き加減がよう出ててよろしおました。あとひとはもちゃんと状況を何とかしようとして(みつばをフォローしようとして)動いててよし。みんな一応は心優しいのよね。天真爛漫の権化であるふたばさんはともかく。チミはそのままでいいので。うん。


あとは…ネコですよなあ。家庭訪問話やるためにはネコを出さざるを得ぬが、ネコさんその後もほとんど空気存在扱いだしなあ。一区切り置く直前のこの話で出すのが一番得策っちゃ得策か。あっと、にゃんにゃん言うてるふたばさんを賞玩するためにも必要ではあったな。あざといあざとい。


●総評。珍しく原作経験済みのアニメであり、さてあの原作をどのようにアダプテーションしてんのだろう、ってな楽しみ方は割と久しぶりだったな。そこらも踏まえて言いますと…いやあ、あのすっとこどっこいなマンガをようここまでアニメ化してくださったなあと感謝いたします。もっとここがこうあそこがどう等と思うところもあるけれど、まーァ…こんだけやってくれれば十二分でしょ。ねえ。


この作品の魅力として大きな要素である、「いつまで経っても交わらない勘違い」と「突拍子なく下品でさえある話運び」。双方ともにエエ感じに盛り込まれててよろしございました。この二つは割と密接な関係を有してまして、つまりまあ勘違いネタってのは要するに「価値観のスライド」による落差がキモなのですわな。その価値観が特異であればあるほど、スライドされた場合の落差も大きくなる。上で「下品」と書いたけれど、実はこの作品の場合、ずらされる前の本質的な価値観はあくまで常識的なものであり、ずらされた後の価値観、仮想的な表現形がすんげえことになっちまってるんですよね。各々のキャラ/事象の根っこの部分は至極真っ当であるからこそ、ちょっとしたボタンの掛け違えによってエライことになっちゃった状況との落差がデカくなり、だから非常にインパクトの大きなものになっているのである。


何をぐずぐず語ってんでしょうねワシ。あ、「根っこは真っ当」と書いたけど伊藤さんはヌキでね。あの人は特別です。伊藤さん黒いよ伊藤さん。目ェ怖いよ。今シーズンは控え目だったけど。あと千葉氏のえろ志向は健全です。あれはあれでブレがなくてよろしい。


第二シーズンがあるようだが、ありがたくもうれしい限り。今シーズンは原作の中盤あたりっぽいキャラデザだったけれど、次シーズンは後半部分のネタが増えてくるであろうし、その辺の雰囲気のキャラデザになってくれるともっとうれしい。特にみっちゃんとその脂肪が。