追補編

●「指輪物語10 追補編」読了。指輪物語はアチシの座右の右の右の書辺りなれど、ワタシの持ってる文庫本はいささか古いヤツであり、この追補編が全訳されてないバージョンだったのよね。あのーアレだ、巨大なガンダルフガンダルフビームを照射してる絵が表紙のヤツなのよね。だからワタシにとっては未だに「イセンガルドのサルーマン」なのよね。


いつか古本屋で追補編だけ見つけたら買ってやろうと思ってはいたのだが、まァ普通は通しの最終巻だけ見つかる、ってことは稀ですわな。大概は一巻目だけで売ってて「ははあ、初っ端ンとこで飽きちゃったのね」てなものだ。で、今回珍しくもポツンと売ってたのでいそいそと購入した、ってワケであります。


しかしまあ、指輪物語ってのは当然ながら「ファンタジィの決定版にしてお手本大作」みたいな扱いではあるんだけど、追補編などを見てると明らかに「奇書」的な要素を多分に有してるなあ、とは思う。大本の祖形言語を設定し、それが数千年/数カ国に亘って様々に変化してゆく様をまるまる構築し、暦法の変遷とその不備の謎を謎のまま指摘し…ってのはやっぱ、どう考えてもちょっと頭おかしいよな。この辺りはホンマ読んでてクラクラするほど素晴らしい。「本編では知識的限界とロリアン特有の訛りからフロドは誤解していたが、第四巻で引用されているのは本来シンダールである」とかもう、オタ過ぎるにも程があるのであって楽しいなあおっさん。トールキンの言語偏執性の為せる業ですな。


…アチシが指輪物語本編のイリキに圧倒されてた頃にこの追補編の「ひねくれた面白さ」に気づかせてくれた先輩のおネェさん、今もお元気でありましょうか。アチシはすっかりこの通りです。わあい。「この船が去った時、中つ国では、指輪の仲間は跡を絶った」の一文にメロメロですよう。