自我境界線


●風邪でボーっとしてたり酒呑んでワヤになってたり寝入りばなに茫洋としたり、時々ワタシは自分の体の境界線の感覚がおかしくなる時がある。あのー、アレだ、例えば目ェ瞑ってから自分の姿を想像しますよね? すると手なら手、指なら指の先まで、なんとなーく「自分のカタチ」が実感できますやんか。体を動かしてもどういうカタチになってんのか実感できますやんか。その形、境界線がどうもヘンになる瞬間があるのだ。


こうなると楽しいよ。あっと思うと右手が数百kmの球状に感じられたり、一瞬の後には顕微鏡サイズにまで縮まったり。慣れるとある程度までその感覚を操ることも出来たりする。その体験は大概はいつまでもは続かずに、しばらくすると消えてしまうんだけど。


切断されてすでに「無い」筈の四肢に、感覚が発生するという「幻肢」ってのも、この自分の形の認識異常ですかね。まあ、発生理由は「脳のなかの幽霊」(V・S・ラマチャンドラン他)のリクツが説得力あったですけどね。切断部末端じゃなくて脳内の体性感覚野自体の再配置が原因だとか何とか。そのうちまた読み直さなきゃ。


●で、ですね。皆さんも「自分のカタチ」の感覚はあると思うんですが、自分の頭がどういうカタチだと認識してますか? どうですか? …具体的に言うと、口ですよクチ。口の内部の形状を(正確かどうかは置いといて)顔表面から地続きの起伏として認識してますか? ってことよ。


ワタシはしてません。少なくとも普段は、口の中は体表面から隔絶された「なんかゴチャゴチャな感覚のカタマリ」として捉えている。が、上記の感覚亢進状態に陥った時なんかだと、すんげえリアルな口中形状が認識されるんだよね。


上顎からグイと立ち上がってズラリ並んだ歯茎と歯、喉の奥から微妙なスロープを描きつつ引っ付いてる舌の筋肉とか、その他諸々。口の中って半分「体内」じゃないですか。じゃよってに、この時には「システマチックな内部構造を持った自分」がヒシヒシと感じられるワケですよ。ああ楽しい。


…という絵、だと思う。