あさっての方向。

あさっての方向。2話。図らずも願いのかなった二人が、尋さんに出会うまでで30分。最近キッツキツに詰まった作品が多いので、この密度の低さはなかなかに新鮮ですな。かといって空虚な時間だったのではなく…。


描写したかったのは他ならぬこの「時間」ではありましょうな。年齢が入れ替わってしまうという状況の衝撃。それをどう受け止めるのか、あるいは受け止められないのか。朝が来たからださんの「夢じゃなかったんですね」は、その衝撃を表すいい台詞ですね。


主人公の名前を引き合いに出すまでもなく、この作品…この回の主眼は「肉体性」である。ずり落ちる椒子さんのメガネやパンツ、丸まって寝ているからださんのデカいケツ。二人の最初の行為が「履物を取り替えること」だってのは、肉体性という意味でも象徴的だ。そしてひととき心を安らげる主体も肉体性。ほほに当たり髪をなびかせる風である。


現実離れしたこの事件が、それら一つ一つの感覚的な蓄積によってだんだんと(劇中の)現実になってゆく過程。その心情を視聴者に体験させるために、この時間は充分に効果的だったと思う。…ってったって、フツーはこんなスカスカな話運び、おっそろしくて出来ないと思いますけどね。大したものだよ。


…いっこ気になったのは、尋さんは何故失踪の件を学校に隠したのかってことですが。なんか知られた拙いことでもあんのんか? ワタシらは事情知ってるからエエけども、事故とか事件とか考えたらフツー真っ先に届けませんかね?