いやなことを書く

●…初めは巣作りでもしてんのかな、と思ったのだ。電柱の上のほうにくっついてる装置の所で、パタパタちいちいと小鳥が動いていたから。でも、違った。


その小鳥は、金具のヒンジだかフックだかに片足を挟まれていたのだ。巣作りの材料かと見えた茶色は、逃れようと暴れるときに出来た擦過痕であった。小鳥を中心に円を描くように、電柱機器の白色が茶色に変わっている。それはひょっとしたら血痕かもしれない。


親か兄弟か相方か、囚われの小鳥の周囲には数羽の小鳥が集まっている。時折何とか助けようとしているようだが、どうする事も出来ない。


…どうしようもないのはこっちも同じ。あんな高い場所では手も出せない。やはり、成すすべなく見守っているのみ。


●この話には教訓もオチも無いです。ただ、これをお読みの諸兄にも同じようなヤな気分をお裾分けした次第。我ながら趣味が悪いが、でもワシ一人でこの「どうしようも出来なさ」を抱えてるのは居たたまれなかったんだもんよ。


●そのあと気になって見に行ってみたが、どうなっていたかは書かない。流石にワタシもそこまで悪趣味ではない。