いろいろ

キャシャーン Sins・23話。ルナとの訣別、ディオとレダの退場。沈み、澱み、動くことのない生命は死に過ぎないとキャシャーンは思う。…ワシが言うても説得力ないけどな! と彼は言うが、生と死から超越している/あるいは排除されている彼だからこそ感じることでもあるのだろう。そして空位となったルナの「王」として…ブライキングボス! という話。


かたや異形化し、かたや滅びに蝕まれつつ揺れ動き、最期は寄り添って休らうレダとディオ。ルナの言う美と生命が完全性を標榜するものであるならば、この二人は確かに死の臭いする醜いものである。しかし彼らの描かれ方はどうだろう。ラストの二人のガチャ絵の美しさ、あれはエかったなあ。この作品の一種独特な耽美さがよう出ていた。…キャシャーンはそのツノを折られること、欠落をスティグマとして持つことで、完全性とは一線を画す存在となったのだろうか。ディオから託されたこの欠落がんまいこと生かされたらおもろいけれどね。


上でも言うたが、今回はまたとても良い絵が多かったっす。ディオとキャシャの格闘シーンは、肉体性と超人性の双方がガッツリと盛り込まれた贅沢な仕事だった。ギザギザなブラー効果を多用した線の太い作画方針は、今回の話の内容とも何となく呼応していたしな。…あと、キャシャーンの「戦うことで生きる」ちう台詞、ガンダム00の「生きるために戦う」と構成単語が似てんな(意味は全く別だが)。偶然だろうが、古谷さん繋がりでもあるな。


鉄のラインバレル23話。最終決戦前のアレコレ、敵の本格侵略話。一つになれだの抵抗は無意味だだの、本気でボーグそのまんま台詞を吐く異次元の人の設定はどうかとは思うけど。やってることは軍事制圧の後に支配同化、と、平和を標榜してんのがアホらしく見える悪役ぶりですし、そういうテンプレにオリジナリティを求めてはいけないのかもしれない。


…そういうノリで言うならば、あの住民誘拐マシンとか、エエな! 燃え上がる廃墟に浮かぶ異星機械! トライポッドトライポッド! 脚一本もないけど。


本題。圧倒的な敵の侵略とソレっぽい理屈の前に「カッコイイから」で反抗するコーイチさん。このトリーズナーぶりはロボアニメ主人公としてよろしいし、ヒロインの死(っぽいもの)でイヤボーンする展開とかはもうちょっと工夫してもエエんと違うかな、とは思ったがまあ、それもよし。


あと「今正義の味方が立ち上がりました!」というニュースナレーションは…盛り上げるというよりは胡散臭さと皮肉さが横溢していたなあ。今までのマスコミ描写のションボリ気味さから言うとねえ。


鉄腕バーディー DECODE:02・10話。全てを知ったバーディーと、殺戮を止めないナタル。最後の最後で二人は交錯し、しかしバーディーはナタルに触れることさえできない。…腕力はともかく、心根的には結構弱いとこあるからねえ、バーディーさん。


今まである程度まで視聴者の心情や同情を受けるように描写されていたナタルさんを、殺害対象たるタセラさんの脆弱な描写をはさむことでキッツいものに見せる展開。ナタルさんの焦りと暴走が見えますなあ。あの展開の後の予告後提供映像、里親に縋りつくタセラさんを延々と…という、また今までとは質の違った悪趣味さがありましたな。


千川さんサイドの舞台である文化祭、このユルさがよいねえ。「ハートをひとつに!」というスローガンがイカニモイカニモで痒くてグッドだ。…何か上のアニメの敵っぽいような気がするのはさておき。あと都市伝説コーナーの絵が押井っぽかった。いや押井作品の絵じゃなくて、本人直筆のアレね。ワシの脳内のメガネオタク繋がりかしら。


宇宙をかける少女10話。てことで1話バカ話を置いての本編再開、なんか知らん箱の人が出てきて去る話。…見てれば見当はつくとは言うものの、箱の中身は女の子ですよというシカケをタイトルでバラしてんのはええのかなあ。落語的というか何というか。


てことで、箱に引きこもりの重要部品さんが登場である。敵勢力とかエニグマとかの情報と引き換えに逃げてきた彼女であるが、結局また連れ戻されてしまう。多分この、主人公たちとの僅かな邂逅が、ネルヴァルさんにとって小さからざる不安定要素となったりする、んであろうな。


それにしても、今回はまた必要描写をズバズバと抜いちゃったような演出に戻り気味ではあった。拘束を恐れて石田先生の元から逃げ出したハコちゃんのシーンとか、あの後にみんなの「あーあ行っちゃった」てな表情を数秒入れれば済む話だと思うんだけどな。エエけどさ。