早朝攻防記

●そこは俺が通る道だ、貴様が割り込んでくるような余地は無い。…お互いに相手のそんな意志は判っているが、あえてクールに超然と振る舞う。そう、声高に自分の権利を主張なんかせずとも良い。相手よりも先にそこを押さえれば自分の勝ちだ。一秒でも早くそこにたどり着けば。そうすれば…ハ、俺の勝ちだ貴様の負けだ、場違いな者は尻尾巻いてこそこそと去るがいい!


しかし、どうやら向こうの方が一瞬早かったようだ。無常にも俺の目の前で道は閉ざされる。奴は悠然たる動きでその場所を行使する権利を無言主張し、俺はただ惨めに引き下がって他の道に向かうのみ。お互いに平静な風情を装いつつも、しかし俺は奴の目に一瞬優越感の光が煌いたのを見逃さない。奴も俺の表情から滲み出る敗残者の瘴気を嗅ぎ取ったことだろう。まあいい、次こそは俺が勝つさ。次こそは…。


●とまあ、の駅改札にて、出る客と入るワシが繰り広げるせせこましい無言のバトルでありました。…おりゃあ! とICカードでタッチするもペケの字が出て通れなくなる瞬間のガッカリ恥ずかしさは異常。あの車椅子対応の改札は横幅広くて入りやすいんだよねえ。