夢の話は誰も聞かない

●寝てるときに見るワケの判らん幻を夢と言い、起きてるときにボヤボヤ思う未来予想も夢と言う。後者は前者から派生してきたものだろうけれど、この際に肯定的なニュアンスのもの限定となっているのが面白い。ねえ、「未来への夢を語る」ってタイトルでドス黒い陰惨文章なんかほぼ書かれんでしょ? 夢ってエエ思いばっかじゃないのはみんな知ってる筈なのにね。みんな夢に夢を持ちすぎである。


…そういや英語のDreamも、睡眠時の幻と覚醒時の妄想との両方を指すよなあ。偶然かしらん。他の言語ではどないなのかね?


夢日記をつけてた時分があって、そのころは「夢日記をつけよう」という意志との相乗効果でよくヘンチクリンな夢を見た。夢日記を止めてからそういうヘンな夢の頻度は減ってきたのだけれど、こないだ久々にヤヤコシイ夢を見た。以下書き留めといた夢の話を整理したものなので、時間のない現代人は読まなくていいです。


●夢を見る。NHKにて外国制作の特集番組らしきものをやっている。冒頭、白人の若い女性二人組のインタビュー。字幕で「よく判らない映画だった。もう時間が長く感じて」。そしてナレーション。「…タイムズ紙はこの映画を「地球上で最も退屈な13分」と評しました。しかし今回の映画祭で、この映画「マンチコア」*1は大賞を獲得したのです…」日本人が撮った映画らしい。


たった13分でそこまで言われる映像ってのはどんなもんだと思う。画面はその映画の撮影現場へ入っていく。何人かのスタッフがホリゾントの前で作業している。映画の一部だろうか、宇宙船がドックからゆっくりと発進するシーンがいろいろなアングルから繰り返される。テスト映像らしく、ドックや宇宙船のモデルは未完成で、いろいろ書き込みやテープ補修のあとが見られる。メインキャスターの外人さんが喋り始める。


「映画界ではこれまで様々な映像表現が探し求められてきました。1906年トラックバックすると新たな人物が登場する手法*2。1894年、油絵の具で直接フィルムに描き込む手法*3。そして今回の映画「マンチコア」です」キャスターは手元の折り紙細工らしき小動物に触れる。と、それは生き生きと動き始める。これがマンチコアだろうか。折り紙細工は机の上を駆けまわり、何かを銜えて引っ張り出す。それはコミカルに描かれた、あわてて走る人物のアニメーションである。


「この映画の舞台は「関西」という地方です。関西は日本の中でもある特色を持った地域として認識されています」アニメーションにはいろんな人物が登場し、やはり急いでいる。どうも「イラチである」ということを表しているらしい。「彼ら関西の人間は、普段は大局的に物を見ているのですが、いざというときには個人的、局所的な行動を取ります」という説明が続く。このあと、商売人だとかお笑い好きだとか説明が続くのだろうな、そして映画本編に入るのだろう、さてどんな映画かな、と思っていたら目が覚めた。


●…それにしても、関西が舞台で宇宙が出てきて、新しい映画表現があって、そのくせ難解で退屈な13分の映画、タイトルが「マンチコア」である。見てみたかったなあ。

*1:ゲーム定番クリーチャであるマンティコア(人面と獅子の体とサソリの尾を持つ怪物)のことだろうと思うが、表記は全て「マンチコア」だった

*2:その映像。映画名は失念。テーブルについたヒゲの紳士を正面やや右から撮っている。カメラがすごい勢いで下がっていくと、細長いテーブルであったことが判り、その反対側に座っている人物の背中がフレームインしてくる。テレビの画面比の関係で、ちょっと不自然に画像が横に動く。ヒゲの紳士に当たっていたライトが消え、手前の人物にライトが当たる

*3:映像。「魔術師(ルネというルビが振ってある)の生涯」と表示されている。ダンディな男が何か演技している。カメラは上にパンし、星空を映す。星空に大きなしみが出来て、それが(モノクロ映画なのに)緑色に怪しく輝く