デスノート/無敵

DEATH NOTE。新番組。この有名な作品について、ワタシはほとんど知識が無い。主要なキャラと大体の設定のみ。じゃからワシ最近週刊漫画誌読んでないんだって。よってかなり新鮮な気持ちでこれに臨むのであるが。


…いや、面白いやんか。導入部としては花丸ですな。状況設定はごく単純にしてインパクトがでかく、それに付随するスキャンダラスな描写は実に細かい。めんどくさくて(場合によっては)ただの自己満足的な設定過多作品が散見される今状況下において、この堂々としたエンタテイメントぶりは却って貴重かもしれないな。


どちらかというと硬質でフラの少ないマッドハウスの芸風がジャストフィット。次々と名前を書き付けてゆくシーンのドライヴ感は大概だった。モノトーンと言うよりは彩度が低い色彩設計も陰鬱で良し。でも、どうしても部屋の電気点けない主人公ってのは少々演劇的過ぎるかな。だってヘンやんか。そこはリュークがらみの怪現象で電気消すとかじゃダメ? 


「退屈である」ということで繋がる死神と主人公。この退廃さ加減もダウナーな演出に合っているな。うん、雰囲気含めてとても上手い第一話だったと思う。スジ知らんので次回以降も楽しみにしよう。…おっと、中村獅童悪くないやん。声優じゃない演技の上手さが良い異化効果になっていたと思う。


無敵看板娘は最終回。堂々の酔っ払い話で前後編である。放送第一話にヒロインの嘔吐でスタートし、最終話においてメインとサブのヒロインが吐いてシメ。ああ、なんと美しい構成じゃないか。なあ。


酔っ払っていきなり萌えキャラになる美輝であるが、周囲はただただそれに恐怖するばかり。この辺のノリはこの作品らしい妙なストイックさがありますな。生天目はここぞとばかりに本領発揮のカワイイ演技、対する小清水はよしきたとばかりの男弁じゃーい、である。桜舞い散る地獄絵図を残し、彼らバカどもは去っていく。あたかも一陣の風…そのまあ、最大級の暴風雨のように。


総評。この原作をアニメ化する手段には様々あったろうが、テレコムとのコラボがここまではまるとは思いませんでしたわい。元々先鋭的とはちょっと離れた作風のスタジオだが、そこを上手く逆手に取った泥臭い隠し味は原作のゴリゴリテイストに良いアクセントを与えていたと思う。この泥臭さ、ある程度自覚的だよね。じゃなきゃ、今時ミュート使ったトランペットの「ぷんわかぷんわか」てなBGM採用しませんぜ。


序盤は少しテンポに不安があったものの、2話でいきなりあのテンションを持ってきたのも良かった。すごいブースターやんか。あとは一気呵成、緊張感を下げずに走りきったって感じでしたなあ。


声優陣も素晴らしいお仕事。生天目も檜山も良かったが、ここは小清水亜美のどす汚れたヘタレ演技と、中村悠一の解説役かつ暴走役という無茶な演技、この二者でしょうな。非常に単純な状況設定下(お題とも言う)において、この立ちまくったキャラ同士がぶつかり合うだけで面白い、というのは見事ですぞ。


うむ、満足しましたがまだやれるよね。二期あったら見ますよ。見ますって。