見るところおぼろなり

●後輩んとこの部室に行ったらドラゴンボールがプチ流行してた。ワタシもそこらにある単行本を久々に読んでみるが、やはり面白いなあ。当時はワンパターンだのタルいだの思ってたが、今読んでみると意外にも「限定ルール上で裏のかきあい勝負」という面が大きいのよね。デスノ等のジャンプ漫画は正しくこの後継者であったのだな。…無論、話の中で悟空が出張ってくるまでのことですがね。


反面、当時感じていた熱狂感や没入感は追体験できなかった。どうしても一歩引いた視点から「なるほどこれは上手いね」「ここはちょっとしつこいな」てな感じで見てしまう。ハウルを挙げるまでもないが、ああ、やはり加齢とは呪いなのだなあ。良くも悪くも、同じ物を同じように見ることができなくなるのだ。人となりては童のことを棄てたり、である。


●そういう意味で、「今のこのジャンルはもうダメだ、昔は良かった」と言い切ってしまえる人をワタシはちょっと尊敬する。ワタシだって思うことは思うし戯言でも言うが、他者に向かって言い切るほどの度胸は無い。だってワタシはもう、昔と同じ見方ができないんだから。それが本当にジャンルの劣化なのか、あるいはワタシの変化なのか判んねえんだから。そこをキッチリ踏まえて言明できるっ人てのは、それだけで尊敬に値する能力者だと思う。


そういう人の「最近はダメだダメだ」という発言があるかぎり、そのジャンルは死んでないのだろう。流行の変遷の余地がありまっさかいな。ホンマに死んでしまったジャンルにはそういう人の発言なんかありませんからね。なのでワタシのような人間が言えるのは、「最近のダマスカス鋼はダメだねー。ああ昔は良かった」なんてなことぐらいやな。ええ。


…多分ワタシが知らんだけで、ひょっとしたら今でも超絶ダマスカスブレードメーカがあるのかも。