ラグーン/パンプキン/ARIA

ブラック・ラグーン、第2シーズンである。OPやEDも一緒、「これまでのおはなし」的な挿話も無し。第2シーズンや続編と言うよりは「ただの続き」ですな。なかなか清々しいような気がせんでもない。てことで、感想も新作としては書きません。


さて、新章突入(だよな、扱いとしては)。ゴスい双子のガキによる快楽殺人、というかなりなネタであって流石の本領発揮ですなあ。また声が南央美金田朋子ってのもインパクトでかい。あの声で「イワンはまだ入れたことないんですもの」とか言うんだもんなあ。


今回はラグーンの皆様はほとんど何もしてなくて、主にバラライカ姐さんがらみで話が進む。どう考えてもヤバい方向にしか進みようがない話で、さてもさても…まあ、パワーや質は全く衰えていないようでひとまず安心。楽しみに拝見させていただきます。で、途中で音声がヌケてなかった? 放送禁止用語言ったの?


●新番組、パンプキン・シザーズ月マガ連載ですか。終戦から始まる軍人の話というとボトムズですが、停戦であって戦後復興モノってのが妙に目新しい。まあ、正面切って戦場の話をやるよりは自由度が高そうな気はしますね。


ホットスパーなお嬢様上官殿とそのお供、そして謎のデカブツ伍長さんの物語。パツキン上官娘殿は「何かあるとうなじがチリチリする」という(作劇上)便利な能力持ち、何かワケありな伍長さんは単身で戦車をノしたりするメロウリンクみたいな男。その他野郎共はそのうちまた、ですか。さてこの凸凹カルテット、どうも一筋縄では行かない世界を相手にどういう道中を繰り広げますやら…って感じかな。


割と地味で着実な作り方してて楽しかった。グレーやブラウンが基調の色彩設計も好み。しかし何だね、架空の軍事帝国となるとどうしてもゲルマン系にならなあかんのかね。いっぺんくらいドイツ語ベースで共和国軍隊っぽいのやってくれんかな。


その割に今回の敵の人はソビエトっぽい戦車に乗ってましたけど…あれは鹵獲兵器なのかな? T-34の車体にKV-1の砲塔乗っけてましたか。中途半端な避弾経始思想だなあ。にしても…あの大口径砲で個人を狙うってのもアレだが、それをマント一つで回避する方も回避する方だ。弾体の運動エネルギー無視かいや。


とまあ、少々の誇張を盛り込み、戦争の人情と非人情を見せる話なのでしょうね。それは伍長さんのあからさまな松本零士傷からもなんとなく感じられる。うん、ちょっとつきあってみたい作品ではありました。しかし…架空の近世モノって流行ってんのかな。あと、長島雄一はいつのまに芸名が「チョー」になったんだ?


ARIA・最終話。前回が結構なシメ話だったので、今回どうするかと思いきや、これまたふんわりとエエ感じの終りになっててよろしよろし。ザショウマストゴーオン、ラストにみんなの「続いていく日常」を見せる演出は結構好きかも。


さて、小さい頃は何になりたかった? 今の自分はどうなの? という、結構個人的にずーんとくる主題でこんにちは。アリシアさんは「どんな大人になりたかった?」と訊かれ、ふむ、と考えてから雪玉を作り始めるのである。皆の協力で大きなスノーマンが完成、さてどうだ、とモミ子に向き直る。もうほとんど禅の公案ですな。亜利師阿、因に灯里問う、如何なるか是れ将来の汝。亜利師阿云く、庭前の雪玉。


アリシアさんはこの行為によって、人と交わりあって生きていくことの楽しさを伝えているのだろう。しかしこの姐さんが大人なのは、他者の善意を「判ってて」受け入れているところにありますな。清濁併せ呑んでますよね、この人。流石師匠、風格があります。んで逆に、アリシアさんに無くてモミ子にあるものは天然の「ニン」であり、それはそれで大事にしていきなさいよ、という…のは読み取りすぎですな。


地味な話なんだけど、序盤からすごくリッチな画面構成と演出で見とれてしまう。モミ子ら三人のゴンドラ上のたわいない会話のテンポとか、ゆっくりと紅茶のカップを取るアリシアさんの指とか。監督コンテでした。なるほどね。


総評。うーん、第一シーズンに比べるとちょっと弱かったかなあ。超常っぽい不思議譚が多かったのはなんだか人間や世界を描いてない感じがしたし、たびたび出てくる過剰な日本趣味も安易な感じが拭えなかったし。おかげで少々「芯」の緩いシリーズに思えた。絵も少し不安定だったような気がするが、これはまあ「よく頑張ったなあ」という方が強いかな。


それでも、一貫してやさしい振り幅で話を紡いでいった姿勢は好感情。特にビックリするような仕掛けもないけど、上滑りの違和感などとも無縁で楽しく見られた。今後続編があったとしてまだ見るかどうかは微妙だけど…うん、良い雰囲気の作品だったと思います。


誰か一人功労賞を上げるなら、やっぱ藍華さんでしょうね。この人だけ大きな変化と成長があったなあ。かなり意外性のあるドラマを作ってもらえて良かったっすねえ。