ゴキブリ

●出勤時ゴキブリを見る。玄関で靴を下駄箱から出して三和土に置いたら中からぽろっと大き目のクロゴキブリが出てきた。屋内で子ゴキブリも見ないし以前玄関ドアの下の隙間からでかいのが入ってくるの見たし、こいつもウチで繁殖した個体じゃなくて外から迷い込んできたんだろうな。それはそれとして完全に殲滅したいが出勤前であまり時間もないので、三和土に居る状況をよしとして適当に中性洗剤ぶっかけといてそのまま出勤する。

帰ってきたら三和土が洗剤で濡れてるの見て「そうかゴキブリ居たっけ」と思い出す。そのご本人は三和土を上がったところでひっくり返って死んでいる。濡れティッシュで片付けつつふと見るとちょっと離れた場所に濁った色の液体があって、ははあこれは死にかけのゴキブリが吐くか排泄するかで汚した跡だなと判る。きったねぇなと思いつつ清掃してると、何故かちょっとだけいたたまれない気持ちが生じてくる。なんでまたゴキブリなんぞに感情移入をと思ったが、多分吐瀉なり排泄なり今まで見たことないゴキブリの様相を確認したことで、半ば記号化した自分の中の「ゴキブリ」というアイコンからの逸脱を感じたんだろう。これはゴキブリという抽象化されたモノではなく、外骨格に神経系や消化系を備えた実体としての生命だ。死の間際までホメオスタシスを維持する為に吐瀉なり何なりの行動を行った痕跡なんだ。そういう生っぽさに、どことなく違和感を覚えたという
ことは考えられる。…なんか昔、にゃずあんとかいうゴキブリコピペネタがありましたっけねと思って検索したらもう引っかからない。ウェブ上のデータもやがて消える。雨の中の涙のように。

それはそれとして、ゴキブリはキモいので死骸はティシュに包んで捨てました。お前らまたウチに来やがったら承知しねェからな。覚えとけ。