よふかしのうた

●よふかしのうた・12話。探偵アンコさんとの邂逅はヤモリさんの認識と状況に結構なクラックを生じさせている。何故吸血鬼になりたいのか、なってどうするのか、なったらどうなるのか。改めて物事を整理し、考えるヤモリさんである。ここで「自分は夜に心惹かれているから」と言うヤモリさんも、「それは非日常への希求であり容易に揮発してしまうものだ」と答えるナズナさんも、言語化がキッチリできているのがすげえなと思った。シチュエーションを積み重ねて雰囲気で見せる作品の流れにあって、こうしてちゃんと話にロジックのカタチを与えてくれるのは親切だなと。

その上でアンコさんを再訪するけど逃げてくるヤモリさん。そうかあ…警察かあ。現代のファンタジィみたいなお話で、こうしてざらっとしたリアルな日常が出てくると逆に違和感となって屹立しやがんな。結局ヤモリさんは知りたいことを何もアップデートできなかったが、アンコさんの深くて昏い吸血鬼への憎悪は知ることができたワケで。彼女がこのように在る理由は何なんでしょうね。

アンコさん近辺の演出は相変わらずいろいろと興味深い。上記の違和感の出し方というか、それまでネオン光で豊かな色彩であった「夜」の情景が、黒くて無機質なトーンになるとことかね。あとはやっぱり沢城みゆきの演技だよなあ。本人の資質と音響監督の指針がいいんでしょうね。すごみがある。