ユーレイデコ

●ユーレイデコ・最終話。たどり着いた最終ステージにはインジャンクション・ジョーが待ち受け、彼女はハックとベリーに挑戦する。彼女の権能・機能は人の苦悩や苦痛の外部化である。それが人の/世界の真実であると言う彼女に「そんなん知るか、どうでもいい」と己のアイデンティティ一つで挑むハックに、ジョーはほなやってみせんかい、と言うて…まあその、体よく自分のめんどくさい立ち位置を禅譲するに至る。世界・Cセンターの全体主義が多少なりとも緩和されているのは、新任ジョーたるハックのおかげだろうか。すべてを見る巨人/クジャクとしての役目を、これからどのように担っていくのだろうか。という話。

冒頭にカマしてくる仮想現実トラップがなかなかキャッチ―で、今まで湯浅風のフラットデザインだった世界があからさまな3Dになるのもそうだけど、まああのハックのアバターだよなあ。お前おんなのこだったのか! かわいったらしい声だしやがって! …いや男のコのままでああなってんのかもしれんけど。まあどっちでもいいか。

●総評。意欲的なテーマで練られた構成の作品ではあるが、あと一味二味が届いてくれない隔靴掻痒感がある。それは多分、こっちの期待とちょっとズレたところに作品の焦点が合っているからであり、つまり俺個人のせいである可能性が高い。言ってしまえばこの作品のAR的設定・ジュヴナイルな方向性・湯浅的デザインが、俺にとってどうも喰い合わせがよくない。この脚本ならもっとカッチリした画面設定の方が好みだし、またこのデザインならもっとスコーンとはじけて欲しい感じがする。どの方向にもあと一歩踏み込んでくれなかった、そういう感想が先に立つ。

あとはまあ、1クールはやっぱ短いよね。このシチュなら幽霊探偵団のアレコレをあともう数話、いろんな視点から見てみたかった。この辺は作品のバジェットもあって言うても詮無いことではあるだろうけど。てことで作品のデキは買うけどもいろいろ惜しかったなあ、ってとこかしらん。ある程度は私のせいなんだけどね。うんまあ。