寒い中で寝る

●寒いんだけど寒くない。具体的には確かに客観的気温は寒いんだけど屋内気温は引っ越し前と比べると格段に寒くない。部屋のイマイチ信頼性の低い安温度計見ると気温15度程度。コタツで充分。実際んとこ、ここに越してきてエアコンの暖房機能を使った記憶があまりない。

引っ越し前の我が部屋は寒かった。部屋の中で息が白くなるのは茶飯事、時々窓に結露した水滴が朝方凍っている、そんな部屋。となると普通は引っ越し後の今の部屋の方が快適というのが一般的だろうし、無論全面的に同意するものではあるが、唯一就寝時の我が嗜好に於いてちと残念なところがある。つまりまあ、寒い々々気温下で重い々々布団をどっさりかぶって寝る快感、そういうのがなくなってしまったということなのね。前の部屋では最寒期には下から敷布団・毛布・俺・毛布・掛布団・毛布といった積層状況を構成していた。それでもさらに寒いとなればちゃぶ台兼用の電気コタツを起動し、足元をつっこんで暖気を供給しながら寝た。

思い出すのが我が幼少時、母方の祖父祖母んちに年末帰省した記憶。田舎のこととで寒い寒い冬の夜、古くてデカい木造家屋の二階部屋に父母俺弟の4人で就寝するのだが、部屋の真ん中に電気コタツを置いてその周囲に敷布団掛布団毛布を敷き詰める。つまり足をコタツにあぶりつつ放射状に寝ることとなる。自分の布団がどこからどこまでかも定かではない布団と毛布の海、露出した顔に感じる冷気が却って心地よい。年末帰省という状況と相俟って、その経験は半ば幸せな夢のような非現実的な雰囲気をもって記憶収納されている。

多分俺は、ちょっと湿ってて重たくて、寝てる間拘束され気味な状況が好きなんだろうな。なので今の部屋の暖かさは、快適さを享受しつつも一抹の物足りなさがあるのですよ、とそういう話。…寝具自体は枚数あるし、いっぺん部屋の窓開けて寝たろかしら。なんだそのマッチポンプ。…アリなのかなあ。