月と来夏と吸血姫/吸血鬼すぐ死ぬ/境界戦機

●新番組・月とライカと吸血姫。要するに「宇宙開発戦争時のソ連には犬に加えて吸血鬼が居た」という、そういうの。人間ではないヴァンパイアなら使い捨ての部品として犬より有能である…という話ですかあ。…そうですかあ。いや、ネタの方向性としてこういうの、俺すごく弱いとこではあるんですよね。旧共産圏の抑圧された鬱積度合いに悲劇、それに付随するエッジの立った美術・軍事・社会。それが今の世の中(≒俺)とは相容れないものであるけれど、それ故にだからこそ、という意味で額装されたドラマのジャンル。それに伝奇的要素が加わると。あー、ねー。

第1話の段階で寒くて冷たい「共和国」の、スプートニクにルナ計画、帰ってこないライカ犬というプロバガンダとして切り取られる宇宙技術ネタ。連れてこられたヴァンパイア少女との「あの犬は数時間で死んだ」「ニュースでは1週間生きたと…」てな会話とか、もうそういうとこでちと困る。あの土師声の大御所責任者、コローヴィンですか、あれコロリョフだろうし、緒方賢一声のハゲ第一書記は当然フルシチョフだろう。…いや判ってます、あまりに現実のそれになぞらえ過ぎては本末転倒、本来の物語の楽しみ方ではない。その辺置いといても、大いに我が琴線に触れるネタと話であったので、視聴継続するとします。どこまでやるのかなあ。

…一応言うときますけど、なんでヒロイン吸血鬼が林原めぐみなの? いいけどさあ。

●新番組・吸血鬼すぐ死ぬ。原作は飛ばし飛ばしで読んでいる程度。原作漫画はツッコミ/ボケの言語センスとしょーもないにもほどがある吸血鬼設定、その辺に寄って立つタイプのコメディ。こういうのは漫画メディアだと「読者が自身の最善タイミングでギャグ間合いを無意識に設定して読む」という多大なアドバンテージがあるワケであり、それが「監督や演出などによってネタのテンポが一意に固定されて供される」というアニメになった場合の不利ってのはもう、開闢以来枚挙にいとまはないのではあるが。…うん、まあ、危惧してたほど悪くはないんじゃないかしら。割ともっさりしててちょい古臭めの演出はちとツライとこもあるが、いやあよくやってると思いましたよ。

実際のところ作品としてドライヴしだすのはもうちょっとキャラが増えてきてからだろうし、この時点でこんな感じならふむふむって感じで見られたし。ドラルク福山潤が思いのほかよろしくて、「ちょっと声が若々し過ぎないかな」って危惧を結構解消してくれている。この辺は流石に最前線でバチバチやってるプロではあるなあ。監督の神志那弘志はワシ世代だとスタジオライブでばりばり作画やってたイメージだけど、検索したら今はライブの代表取締役なのかあ。時代は流れてんのね。…うーん、視聴は続けるけど感想は判んない。

●新番組・境界戦機。1話見るだにすげえストレートなボーイミーツロボで、これがガンダムじゃないのが不思議なくらい…ってサンライズではあるし、メカデザが(話題の工業デザイナー以外は)海老川寺岡刑部のガンダム組、んで羽原信義監督に大貫健一キャラ…ってのは横綱相撲一直線というか一昔前からの王道って感じだけどね。音楽がラスマス・フェイバーってのはちょっとうれしい。本編は上記の通りの変化球少な目の典型的ロボアニメ。設定が近未来没落した日本が各国に分割統治されて民族差別アリという状況、これはなんかコードギアスっぽい。でも相棒のAIアバターのデザインといい主人公の設定といい「この時間帯でいいの?」って感じの青少年アニメ的低年齢さがあるのが気になる。まあオリジナル作品だしどっち転がるかは今後のこと、クォリティ自体は高かったのでもう少し様子を見よう。

…にしても序盤で蹴散らされるっぽい感じの敵軍男女二人。稲田徹石上静香というキャスティング。石上さんはもうちゃんとそういう地位をゲットしてんのだなあ。