プリテンダー/富豪刑事

●GREAT PRETENDER・12話。シンシアさんの過去。かつての淡っちょろい恋人だったトーマスが例のコールマンにアカン形で見初められた、それがシンシアさんをして今回の動機を形作ってる、のだろうか。まだ今んとこはその動機のコアの部分が描かれていないので判んないけどね。前回のモントーヤ、今回のエドワード・ケイン、ジャン・ピスカリオとどうやら架空の芸術家らしき作品が出てくるけど、割とどれもそれらしく出来上がってんのは頑張ったなあって感じ。あるいは私の知識と検索能力が低くて、いずれも実在なのかもしれんけどね。キーとなるモントーヤの絵、これはなんかちょっと「判りやす」すぎてそこまでの大芸術っぽさは薄いんだけど。キャッチーじゃないと物語を牽引しづらいからという判断によるものだろうけどね。

富豪刑事・最終話。黒幕はおばあちゃん。アドリウムという人には過ぎたテクノロジーを守る為に暗躍してきたが、じゃ大助はんあんた正義の判断できますか、ってとこでハルさんが肘で世界の趨勢を決定した。うん、まあ、ここで大助さんが初めて大笑いを見せるってのはいい演出だな。あと世界をひっくり返しかねないモノというマクガフィンを使った話のオチで、隠蔽や消滅ではなく「それありきの世界を割とドラマチックでなく見せる」ってのは割と珍しいなと思った。世界構築系のSFとかだと割とあるだろうけども。それとあと、エピローグの犯人は何故ゴーストバスターズ? 

●総評。「何でもカネで解決するクールで独善的な刑事」というフォーマットでもう少しルーチン話を見たかったな、ってのが正直なところ。ラストアークのアドリウムがらみの話は、よく練られ構築されているけども、1クール刑事ドラマのオチとしてはちょっと厚みがありすぎてバランスが悪い気がした。はみだし部署の面々も思い返せば割と活躍してるんだけど、どうも印象が薄いし。長さんが長さんとしてのキャライメージを確立する前にシリアスルートに入ってったのはやっぱもったいないわな。

原作との比較は…目的としてる面白さの方向性が違うので、そこはまああんまし意味がないかな。原作の同僚刑事たちのキャラ付けは流石にちょっと古いしね。個人的には「かつての悪行を反省しまくってエエコトに散財しようとするも結局儲かって激おこ」という原作のおじいちゃんはアリだと思うんだけどね。それ入れるとアニメ版のオチとチグハグにはなるけどもさ。とまれ、コロナ禍もあっていろいろ大変だったと思いますが、最後まで楽しめるクォリティに仕上げてきたのはえらいもんです。…うん、やっぱもっと大助のわっかりやすい大金遣いを見たかったかも。まあね。