ブレラン2049

●録画してたブレードランナー2049を鑑了。もともとのブレランがあれだけのカルト的賞賛を受けたのは、そのデキもさりながらジャンル的な先駆者であったからという理由が大きいんであって、今やその影響が遍在し定着した今となってはどない上出来なモノができようと同じようなニッチに登るのは厳しい。ましてやブレランという作品が「派手に大規模にしたらもっと良くなる」ってな方向性を持ってない上は、なおさら前作越えってのは不可能だろう。

そういう意味では予想通り続編として本家には及ばないって評価にもなるだろうけど、まあ…うん、でもこれはこれでいいんじゃないですかね。前作の持つジメッとした湿気と暗さがシッカリ継承されてんのが、このご時世ようこれで通ったなと感心するし、あとは当然ながらあのプロダクションデザインよね。いやホンマ、ブレランが作られた1980年代から分岐した架空の未来にちゃんとなってるん。冒頭のイモムシ農場の、要らんものゴテクサ付いてる気密服やら洗浄機の無駄にゴツイスイッチやら、あの辺のデザイン見てるだけでも楽しい…っつーか、デザインするの楽しかっただろうなという妄想でもう楽しい。そういう鉄と油な世界と対比的な、ウォレス社のムチャクチャ大規模かつモノトーンな清浄さもタイレル社のイメージそのままスライドして持ってきてる感じでよろしい。

多分これ、ウケたら続編作れるようにオープンエンド気味に作ってあるんだろうけど、「K」の物語としては行儀よくシメが付いてるので視聴後感は悪くない。バッティとは逆に、空を見上げて死を迎える彼のとこで「例の音楽」が流れたときはちょっと噴き出しつつもほろっとしましたしね。ああそう、音楽。ベンジャミン・ウォルフィッシュはよく知らないけどもう片方のハンス・ジマーはよう知ってます。この二人でなんかすげえヴァンゲリス風味な音楽出してきてんのが面白い。監督からのオファーがそうだったんでしょうけどね。てことで、うん。面白かったっすわ。好きかも。