ヴィンランド/バビロン/オブソリート

ヴィンランド・サガ・最終話。アシェラッド死す、のついでにこの先の登場人物/舞台をチラ見せしてシメ。本当にとことん内田直哉の演技を堪能する回でありましたな。すげえや、という感想しきり。とりあえずトルフィンはこの結末で完全につぶれてしまい、再起するにはしばらくの試練が必要になるんですけども…何だろうね、一旦完全にバラしてからの再構築による生まれ変わりってのは何となく蛹からの孵化みたいな印象ではある。あと、トルケルさんがちょこちょこいいサポートムーブしてんのが良かった。本質的に地頭がいいんだよね。

●総評。まあ何というか、想定する中でもほぼベストに近いアニメ化だったんではなかろうか。作画・演出・キャストに至るまで、実に丁寧に制作されているのがよく判るデキになっていた。原作は良質ではあるものの、万人から大うけするようなタイプの派手さは少ないので、じっくりと展開できるNHKがプラットフォームであったのも幸いしている。また序盤の展開を時系列に沿って入れ替え、かつ幼年編として3話まで一気に放送するという形式も、ストーリィに引き込ませる目的として効果的だったんではなかろうか。

上でも書いたけどキャストの演技も良かったねえ。トルフィンは青年期の上村祐翔・少年期の石上静香ともにいい叫び声してて印象に残ったし、トルケルの大塚明夫は「まあこのキャラならこのおっさんしかねーなー」って感じの盤石さだったし。そしてアシェラッドの内田直哉は後半に行けば行くほど鬼気迫る、と言えるほどの存在感で耳目をかっさらう。この辺の演技見てる(聞いてる)だけでも視聴充実度がやたらに高い作品ではあった。

てことで充分に楽しんだけど、まあここで終わるって手はないよね。こっから割と鬱屈した展開が続くんだけど、それだけにキッチリ映像化して農民編のケツまでやってほしい。NHKだし、期待してますよ。お願いしますって。

●バビロン・8話。一月ほどブランク開けての再開。冒頭いきなり犠牲者の同僚さん勢ぞろいで「こりゃ正崎さんもダメになったか」と思ったが、そこまで参ってもない感じなのが却ってキツイというか。家族とのほのぼのしたシーンを映されるともう悲惨な状況の前振りにしか思えないっすわね。そして後半は舞台がアメリカに飛ぶ。ギークな青年の話がラストで大統領になるという構成とか、キャラの立ったサポート役の面々とか、相変わらず面白そうな語り口は流石だなあと思いつつ、なるほどこのメンツがドロドロに崩壊してゆくのを見るわけね、とやっぱり前振りにしか見えない。なんだかんだで楽しみなんだけど、これから先もキツイ展開になるんだろうなあ…。

●OBSOLETE・5話。タダに近い手間と値段でこんなキカイが手に入るならば当然そうなるだろうなという、人の命の安い国での大量使い捨て運用。その中にあって指導者を得て戦士になる少年たち…ってまあ、地獄からちょっとマシな地獄に移っただけなんだけど、当人たちにとってはきれいごとも言うてられないワケで。ただ無為に死んで行くよりは意義を抱えて死ぬ方が良い、ってことだわな。この「指導者」ザーヒルさんが1話の謎の敵かしらん。コクピット外で外骨格とシンクロしてスナイプしてんのがやたらかっこいいな。