ハイスコア

ハイスコアガール・最終話。予定調和でありなかなかの大団円。その着地点に向けて進行の滞っているハルオを、貼りて一発ドヤして後押しするのがコハルさん、というこれまたベタな展開でよろしい。大野さんのもとに走るハルオが見えなくなってからわんわんと泣く、というどこか理想化された負けヒロインの美学、ってヤツですかね。ラスト、どうやっても間に合わない、後悔するしかない状況からのゲーム的ファンタジィが美しい。野郎と思えばいくらでもダウナーでマイナスな展開を書ける作者ならではの、ご都合主義的な美しさだと思う。

●総評。ゲーセンのゲームが幸せだった時代にかこつけて語られる幸せなバカ野郎の話。上でも書いたけど、どっちかっつーとじめっとした負の情念を描くのが上手い…っつーかそれがベースにある作者が、「いやこの作品世界においてはゲームとバカってこんなんだよ」と振りぬいてくる美しい世界、である。それはもう大野さんのキャラ構築からしてファンタジィであることを強く意識させるような塩梅なのだが、だからこそ「俺たち」が知ってた/経験してきたゲームというファンタジィにふさわしい物語として提示されている。

この物語の時代から先、ゲーセンが全くすたれてしまうワケではないが大きく様相は変わるし、彼らが愛したそれらはそのままあり続けるということにはならない。なので、この物語はここで終わる。ハルオも大野さんもコハルさんも、ゲーセンの隆盛と共にあった幻影のようなもの、なのかもしれない。しかしその幻は確かに、あの時代にゲームと共にあった野郎どもの中に在るし、在り続けるのだろう。

…っつってたらコハルさんの三十路スピンオフやりやがんのな! 俺の感慨ダイナシであるな! …しかしどういう話にする事やら。なんかこう、どうやってもお辛ァーい話にしかならないような気がするんですけども…。いや見てみたいのは確かですけどね!