ヴィンランド/バビロン

ヴィンランド・サガ・14話。世界の悲惨さに押し流されてどうしようもない庶民と、今まさに世界の無常さ方面に傾きつつあるアシェラッドたち。残酷な一夜ののちに一人だけ生き残った女の子さんの前に現れる、青い青い月夜のこの世ならざる美しさが、物語のキモとして充分に成立するだけの説得力で表現されててすげえなあと思った。あとトルグリムとアトリ、修道士と何だかんだフツーに話してんのがなんか面白い価値観ではある。殺すとなったら一瞬なんだろうけどね。

●バビロン・2話。今回はともかく事件の重要参考人である平松エミコさん、この人のムチャクチャな存在感に尽きる。調書を取っているその初っ端の、他愛も無い会話のシーンで既に「あれ…こいつおかしいぞ…」という雰囲気を出す細かい演出(ニコリと口を開くその瞬間でカット切るとか、妙に細かくデザインされた瞳の絵とか)が冴える。相手がどんな人間でもそれに合わせた会話術をやらかす狡猾さがあんだろなと思わせる、妙な重量感と質感。ジジイどもを手玉に取る描写も含めて、その身なりからも隠しきれない頽廃性と官能性。レクターというよりはニャルラトテップというか…。んでこの声誰だろう、と思ったらキャスト欄が「???」って…何だろうね? こんだけ喋り倒して謎キャスト、というギミックはどういうことだ。なんかすっかり制作側の掌上だよホンマ。