リヴィジョンズ/コトブキ

●リヴィジョンズ・12話。渋谷は元の時代に戻るが、大介は戻れない。彼は時空の間で、かつての自分たちを救うべくミロと共に揺らぐ。んでもってそこに立ち塞がるニコラス/慶作さんですが…っちうね。谷口監督の作品だし着地点をキッチリと作り上げてるだろうことは予想通り。ただ、何らかの形で続きを匂わせるように終わってるのはメディア展開なのか続編なのか。それでもあまり気にならないような大団円っぽさを出してんのは流石ですけれども。

●総評。そこそこの規模のコミュニティが異世界(つーか不毛の未来)に流されてどうするか、という群像劇にロボとタイムパラドクスSFを振りかけた趣向の話。設定部分は結構キッチリ作りこんでありそうだがその辺をずらずら並べ立てない、ってのは多分もう古臭い作劇指向ではあるんだろうけど、個人的にはこういうのも好みである。ギスギスした人間関係のリアルさと割り切ったマンガ的なキャラ造形のバランスは、1クールで見せる作品という前提として妥当なとこであろう。エエトコナシで死んじゃった渋谷区長さんはまあ、あれはあれでおいしい気もするしね。

それにしてもやっぱり主人公、大介さんのキャラ設定だよなあ。そりゃ欠点のある主人公像ってのもよくあるが、ここまで欠点がマジ欠点な主役ってのも結構な冒険である。谷口監督の作品らしいっちゃそうなんだけどね。1クールかけてちゃんと成長するんだけど、成長しなくてもそれはそれで面白かったかもしれない。あとこれ、大介の成長話であると同じくらい、ミロさんも成長するんだよね。序盤の堅っ苦しいミロに並べて未来の感情溢れるミロを出す時点でそういう意図なのだよな。

全体的にすっごい壮大ってワケでもないし一点突破のあざといウリがあるワケでもないが、カチリと構成された好編だったと思います。面白かった…いや、大介のキャラ造形はあれ充分に一点突破と言えるな。もし続編があったとして、そして大介さんが再登場したとして、たまにあの器の小ささを出してくれるととても嬉しく思う。そんくらい印象的でしたヨ。ええ。

●荒野のコトブキ飛行隊・最終話。ラストバトルってことで空戦てんこ盛り、トレンチランもドッグファイトもなんでもあり。戦闘機の戦いなのに「市街戦」ってのがえらいもんだよな。そして今まで震電・キ64含めて日本機シバリだったのをここでぶっ壊してのセイバードッグってのが実に効果的で、ベアメタルでぎゅんぎゅん飛ぶジェットの異質さがよう出てました。ラスボスのイサオさんもやっぱエエキャラで、最後までこの人「自分はいい人だ」ってのを疑ってないってのがサイコですわなあ。ラストのあれ、多分穴の向こうに飛ばされてますよね。これはパワーアップして再登場してくるフラグ…なのかどうか。まいいか。

総評。水島監督で兵器アニメっつーとガルパンだけど、そこまでの世間的評価は受けなかったっぽいのは残念として、話の構成がどうも地味だったり戦闘機アクションがちょいとマニアックだったりとそれはまあ判る。でも個人的にはこういう航空機…二次大戦で単発単座単葉引込脚、というのが一番好きなのでかなり気に入ったところ。キャラが2D手書きと3DCGをいたりきたりしてたのが最後まで惜しくて、カネと余裕がありゃどっちかに統一できたんだろうなあ、と思う。上記の如く押しも押されぬ大ヒットってワケでもないので続編は厳しいとこだと思うが、あったら是非見たい、っつーかこの世界観でスピットファイアとかBf109とかP-51とかYak-9とかMC.202とか入り乱れて飛んでるの見たい。…ムリっすかねえ。てことで、面白かったです。