フランキス/魔法使いの嫁

ダーリン・イン・ザ・フランキス・11話。パートナーシャッフルのスワッピング回。前々から視聴側からすれば「あーこれは絶対うわべだけっぽいよなあ…主に女性側が」という印象を拭いきれなかったフトシ/ココロコンビが、やっぱりそうだったねという話。要点は別にココロさんがひどい人なんじゃなくて、フトシさんが嫌いってワケじゃなくて、つまりまあ…その、うざいねんな押し付けが! あごめん言い過ぎた。ただ他にもっと気になる人が居るんです。そういうことです。

外見からして優しげで素直に見える(ように造形してある)だけに、ココロさんはそんな自己の外装にもちと思うところはあるのだろう。…これで次回ばっさり髪の毛切ってきたらあまりのテンプレが却って面白いのだが、そうはならんだろうな。あとミツル・イクノとヘテロじゃない志向を持っているように描かれてるようだけど、明確にそうというよりはまだ未分化な感情であるようにも思えんこともない。なんてったって恋愛的な知識も何もない世界ですからね。…イクノさんはちょっとマジかもしれないけど。多分。

相変わらずヒロさんは主人公というよりは「欠くべからざる舞台装置」って感じである。他のメンツの手に取れそうな悩みや気持ちと比べると、どうも高踏過ぎるんだわな。ヒロさんとゼロツーだけの世界ならちゃんと主人公してるんだろうけどねえ。ま、この辺も意図的な構成ではあろうけれども。

魔法使いの嫁・最終話。ヨセフを追いつめたチセさんは、さてどうするか。彼女が言うに「お前一発ぶっとばさせろ」とのことだが、勿論それだけで済むはずもない。じゃあなにするかってェと「わが身を貫かせて抱きとめる」である。痛みと共に子守唄を歌う、このシーンがなかなか作品のテーマを凝集した感じでよろしい。諸々済んだあとに後半たっぷりとってエピローグ、花嫁の装束もて話を終える。キレイに〆ましたな。…言葉は理解するためじゃなくて話し合うためにある。つまり、関係性は常に進み続けるってことだ。これもチセさんらしいっちゃ、らしいことではある。

●総評。人外の者に弟子かつ嫁として引き取られた女の子の話…というアウトラインから想起されるアニメにしては、結構身を削る作品ではある。この繰り返される安定感の無さ、なんかというとチセさんがエライ目に遭っちゃう傾向は何となく海外文学っぽい感じがするんだけど、それ以上にこれは多分…作者の趣味なんだろうなと思った。何でしょうね、奥手で大人しいけど一本芯の通ってる女の子にどんどん苦難がぶっかけられる、それがいいよねというか。あと初見での印象とはかなり離れたエリアスの「頼りにならなさ」ですかね。確かに魔法などに関しては右に出るものはあんまないんだけど、中身の人間性がとってもゆっくりとした発展の途上なのでとにかく隙が多い。その隙の多さはチセさんもどっこいで、お互いにカバーできるとことできないとこがあるのを含めて、割れ鍋に綴じ蓋なんだろうなと。

全体の流れとして判りやすい「なんかのイベント→解決」って構造にはなってないのがちと見づらいとこだけど、その分次への牽引力はあったのでそこは利点でもある。あと個人的にはゲストで出てくる様々な人外さんたちがちゃんと「人じゃない」とこを持ってんのがいいなあ、と思った。特にティターニアとオベロンの王たちは、話も通じるし力も貸してくれるけど根っこんとこで「あ、こりゃ人じゃねえや」ってのが垣間見えるのを最後まで崩さなかったのがいいよね。んであと、人外の女性はどいつもこいつもちちでかいのは何なんだろう。豊穣…? でもリャナン・シーもでかかったしなあ。まいいや。うん。