フランキス/魔法使いの嫁/おそ松さん

ダーリン・イン・ザ・フランキス・4話。ミツルさんはすっかりPTSDであるが、ゼロツーさんの方は彼を含めてここの少年たちにほとんど気をとめることもない。仲間という言葉に鼻白むゼロツー、チームという概念に鼓舞を求めるイチゴ。あくまで対照的な両者だが、今んとこ圧倒的にゼロツー側のほうがいろんな意味で「強い」。なんか「ナインズ」なんてなエリートさんたちも居るようだし、先が思いやられるチームではある。

んでもってヒロさんにあっては、今回思い切って告白してゼロツーさんのアイカタになる決心をしたようで。絶対的な離別を前にしてようやっと、キンゲのゲイナーのラブラブ台詞みたいなこと叫んだりして、そういわれちゃァゼロツーさんも別れられないよな…ちうてヒザを痛めるのも厭わずヒーロー着地でダーリンの下に飛んで帰るというワケである。…ヒロんとこに飛び降りてきたゼロツーさんの、くしゃっとした笑顔が実にかわいい。こういう開けっぴろげな笑い方するキャラってあまり見ないよなあ。今回はトリガーで摩砂雪コンテでしたか。こういうセンスはやっぱスゲエよな。

魔法使いの嫁・17話。言葉には重い意味があり、生半に扱うべきではない…っちうか、今回は灰の目さんがその「呪」を利用してまたも好き勝手やらかしました、っちう話やね。兄弟喧嘩でよくある「あんたなんか居なくなっちゃえばいいんだ!」がそのまま具体化してしまったらどうするか。父や母どころか自分の記憶からも、弟の名前が思い出せなくなったら。他者(チセさん)が弟の名前を口にしたのに、その部分だけ意味不明のノイズになっているというシーンはなかなか怖い。

こういう、人とは異なる「ルール」のもとでそれをなんとか解きほぐそうとする話は割と好きです。言葉が我々の世界とは異なる強さを持ち、チセさんが余剰魔力で咲かせたクリスタルの花に大きな価値があったりする。コードを探ってゆくことで、何だか認識そのものも変質してゆくかのようだ。なるほど、エリアスは半分こういう世界の中に居るのだな、という感覚であるね。

チセさんは灰の目のお節介によって、割と制御できる状態で獣人となる能力を得たらしい。こないだは狐だったけど今回は熊。そうやねえ、人が獣となるネタならば熊は外せないよな。あんまりやりすぎるとひっかえせなくなりそうで、ちと怖いですけども…チセさんも危ういとこあるからなあ。

おそ松さん。OPもそこそこに本編開始、今回はこの「イヤミはひとり風の中」一本でお送りする形式。舞台はどうやら戦後すぐの下町、怠け者で手癖が悪くてどうしようもない鼻つまみ者のイヤミさんは、ひょんなことから仏心出して盲目の花売り娘を庇護することになる。一旦情が移れば一気呵成、この子のためなら真人間にもなるぜ…ってな彼の姿を驚きの目をもて見守る街の人々。デカパン先生の診察によればしかし、彼女の目が治癒するにははるかに金が足りない。街一番の金持ちヤクザ・チビ太一家も巻き込んで、彼の奮闘は続くのだが…っちうね。

これは…アレだ、チャップリンの街の灯ですな。原作が最後にハッピーエンドとなるのに対し、こちらはサブタイ通り、花売り娘のキクちゃんの幸せを見届けてイヤミはいずこかへと去ってゆく。彼我の違いというか浪花節というかね。検索してみるとこれ、原作おそ松くんでも有名なエピソードだそうで。そちらでは時代劇だったのを戦後の昭和に移したのは面白い判断で、なかなか奏功していると思う。モノクロから最後に天然色になる効果もいいし、全編にわたってレイアウトに凝っててちゃんと「昭和の映画」してるとこもいい。あとスターシステムとして、イヤミ筆頭に各レギュラーがそれらしい演技してんのも好みである。チンピラ脇役をキッチリこなしてる六つ子とか、このおそ松さんではなかなか新鮮。こういうのもたまにはエエねえ。